2011年8月26日金曜日

帰化植物


道路ののり面や道端に白いユリが咲いている=写真。形状からすると、帰化植物のタカサゴユリだ。テッポウユリとタカサゴユリの交雑種である「新テッポウユリ」にも似る。素人には判断がつかない。毎年、8月後半になると急に目につくようになる。

3・11以来、本や資料が崩れたままになっていた2階を、カミサンが片づけた。次から次にモノを持ってきて要・不要を決めろという。夫婦といえども価値観が違う。次の世代はさらに違う。私には必要なものが無価値になる。毎日、ごみ袋に紙片を詰め込む作業が続いた。かなりの資料を捨てた。

およそ15年前のものと思われる手紙が出てきた。初秋になると、切り通しが白いユリの花でいっぱいになる。何という種類か――旧知の植物研究者に電話で問い合わせたところ、なにかの本に執筆した、いわき市の帰化植物についての文章(コピー)が郵送されてきた。そういうやりとりをしたことを思い出す。いわきを知る、その一端として、だった。

ちょうど今年も白いユリが咲き始めた。封筒は捨ててコピーを手元に置くことにした。セイタカアワダチソウ・セイヨウタンポポ・ヒメジョオン・ハルジオン・シロツメクサ・ムラサキツメクサ・キショウブ・オオイヌノフグリ・メマツヨイグサ……と、いわきの帰化植物を紹介したあと、タカサゴユリについて記す。

「ここ10年以内で急速に増えているのはタカサゴユリである」。15年前の時点(それが執筆時期として)での10年以内だから、この白いユリは今からざっと四半世紀前、急にいわき市内で目立つようになったことがわかる。とりわけ今の時期、常磐自動車道はのり面がこの花で覆われる。国道6号の常磐バイパスも花盛りだ。民家の庭にも咲いている。

「タカサゴユリは8月の下旬頃から9月にかけて開花する。翼を持つ種が風にのって多数飛散し増え続け、飛んできた種子が根をおろして球根を形成し何年もその場所で咲き続ける。広範囲に一斉に開花し見事な景観を呈する」。最後の部分はボールペンで文を加除・訂正してある。

タカサゴユリは赤褐色の筋がある。赤い筋のないものもある。このへんが判断を難しくする。要するに、タカサゴユリと新テッポウユリと両方が生えているのだと考えればいい。いずれも園芸種として移入され、あるいは交配されて野生化した。

郊外の道端でこの花を摘む人を見かけた。とはいえ、ヤマユリと違って香りはない。切り花としての人気はいまいちか。

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