2012年2月1日水曜日
木守の滝の氷
夏井川渓谷の右岸、北向き斜面に「木守の滝」がある。渓谷の野草を調べた知人が命名した。なるほどその通りなので、この滝を語る際には「木守の滝」と言うことにしている。
木々が葉を落とした今、無量庵の庭からでも滝の様子がわかる。全面凍結をするところまではまだいっていない。しかし、しぶき氷が成長しつつあるようだ。無量庵の室温、氷点下5度。外気温は推して知るべし(北にある原発も厳しい寒気にさらされている)。
水力発電所のつり橋を渡って「木守の滝」と対面する。高さはざっと10メートル。両側にしぶき氷が張りつき、氷柱が伸びて、下部ではこぶ状のかたまりがいくつもできていた=写真。しぶきを浴びながらアイスピックでこぶ状の氷をかちわり、ポリ袋に詰める。これを6月末まで5カ月間、無量庵の冷蔵庫に眠らせておくのだ。
夏井川渓谷は今が極寒期。北向きの斜面と巡視路に雪が残っている。畑の表土が凍り、霜柱が立っている。雪上にはけものの足跡。タヌキだろうか、テンだろうか。霜柱を踏み、足跡をウオッチングする。
極寒期には極寒期の楽しみがある。しぶき氷の採取もその一つ。夏、「氷室開き」に合わせて冷凍室からしぶき氷を取り出し、オンザロックにして自然の恵みに感謝する――。昨年までは単純にこれを楽しむことができた。
今年も極寒期の習いでしぶき氷を取ったが、心から喜べないものがある。岩に張りついてふくらんだ氷にコケがついている。コケはけずり落とす。要するに、放射能問題が頭から離れない。
でも、オンザロックはやりたい。少々複雑な気持ちになってしぶき氷を持ち帰ったのだった。どんな状況にあっても楽しみを見いだせ――先人の教えが前へ進む力になる。
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1 件のコメント:
何とも羨ましい楽しみですね。と3・11前まではコメントしたことでしょう。
今日仙台の帰り駅前の本屋に立ち寄り孫の本を探していたところ「僕のお父さんは東電社員」という本が目に入り一瞬頭が真っ白になり気が付くと涙が流れてました。やりきれない思いです。この本を購入して仙台を後にしました。
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