なんだ、これは。すぐツチグリ幼菌(マメダンゴ)の採取跡だと了解する=写真。イノシシがつつましくラッセルするはずはない。人間だ。コケがはがされ、500円玉大に土が露出している。
夏井川渓谷の無量庵。庭の一角にマメダンゴが発生する。地表に出たら、もう食べられない。まだ地中にある幼菌のうちに手探りで採る。
そこにはコケが生えている。てのひらでコケを圧(お)す。硬さを感じたら、苔をはがしてみる。ほぼ1センチ前後の幼菌が現れる。幼菌を採ったら、コケをもとに戻す。何ごともなかったように。小穴だらけなのは、人間がコケを戻すのを忘れたからだ。
今年は庭のマメダンゴを採取しない――。ブログでそう書いた。それが裏目に出たか。そうだとしても、犯人は庭に不法侵入をして、まっすぐマメダンゴにたどり着いた。トリュフをかぎ当てるブタか犬並みの嗅覚だ。
犯人が無量庵をよく知る人間だとしたら、気持ちは信頼より不信に傾く。タラボがとられる。葉ワサビが、ジンチョウゲがとられる。そして、今度はマメダンゴが。「とられる」を漢字で書けば「採られる」より「盗られる」だ。
3・11後も、それ以前と考えや品性の変わらない人間がいる。あれだけの天変地異と文明の災禍があっても、「オレはオレ」なのだろう。マメダンゴのセシウムはどのくらいあったか、気になるところだ。
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