いわき市と延岡市の「兄弟都市」締結15周年を記念する「若山牧水展」がいわき市立草野心平記念文学館で開かれている。歌人の福島の旅、とりわけ三春町での揮毫(きごう)会、三春実科高等女学校の校歌作詞の記事が目に留まった=写真。
揮毫会は1926(大正15・昭和元)年、校歌作詞はそれより前の1920(大正9)年、三春実科高等女学校はのちに県立田村高校と合併、とある。
1950(昭和25)年、三春町の山田屋旅館に牧水の歌碑が建つ。「時をおき老木の雫おつるごと静けき酒は朝にこそあれ」。牧水の酒の歌による最初の歌碑だそうだ。
旅と酒の歌人の代表歌は「しらたまの歯にしみとほる秋の夜の酒は静かに飲むべかりけれ」。牧水が愛用した徳利や盃、猪口なども展示された。小ぶりなのが意外だった。いや、静かに、なめるように飲むには小さな盃に限る。「茶碗酒」はいただけない。歌に合わない。
これに対して心平の酒はどうだろう。「静かに飲むべかりけれ」とは対極にあるように思われる。心平の日記にはたびたび「宿酔」の文字が出てくる。「四日酔苦し」(55歳)、あるいは「五日酔也」(61歳)、翌日には「六日酔気分」となれば、読んでいる方が悪酔いしてしまいそうだ。牧水の酒は猫を眠らせ、心平の酒は虎を目覚めさせる。
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