きのう(7月16日)、平六小近くの出羽神社で「夏越大祓」が行われた。「茅(ち)の輪くぐり」である=写真。
前から読みが気になっていた。「夏越大祓」は「なごしのおおはらい」なのか、「なごしおおはらい」なのか、あるいは後半の二文字が「おおばらい」なのか「おおばらえ」なのか。そんなことを考えてしまうのは、新聞社に身を置いてきた人間の一種の職業病、いや後遺症か。宮司さんは「なごしのおおばらい」と言った。
出羽神社の「茅の輪くぐり」は2009年に復活した。そのとき(そして今度もだが)、早朝散歩ですれ違う氏子さんから神事の開催日を教えられた。情報をもらった以上は、その日に予定がなければ出かける。神事の前日(日曜日)、飲み会があって、別の氏子さんたちからも「茅の輪くぐり」の話が出た。いよいよ見に行かないといけない。
復活4年目だが、去年は東日本大震災と原発事故の影響で中止された。2年ぶり、3回目の神事だ。急な石段を、息を切らせながら上る。「神の庭」に旧知の氏子さんたちがいた。まずはお茶を、と勧められる。抹茶だった。
よく見たら、社務所らしきところで氏子の男性陣が和菓子を用意し、茶筅でチャカチャカやっていた。こちらの裏方も見知った人たちだ。いざとなると茶もたてる――個々の素養の深さに驚いた。
茅の輪くぐりのあとに行われた「羽黒露沾会展」の表彰式でも、似たようなことを感じた。「家族」という題で氏子から和歌・俳句・川柳、要するに短詩形文学の作品を募った。69点が寄せられた。
江戸時代の前期、磐城平藩を支配した内藤家に俳人として知られる政栄公、俳号露沾がいた。その貴顕が出羽神社を訪れて詠んだ和歌と俳句がある。和歌は「羽黒山 御影も清き みそぎこそ 茅の輪を越ゆる 代々の川波」、俳句は「清祓 千代をむすばん 駒清水」。駒清水は神社の北西の裏手にある井戸だという。
江戸時代の茅の輪くぐりにちなんだ定型作品のコンクールだ。最優秀は「再会の家族に眩(まぶ)し若楓(かえで)」。入賞者はあらかた知った人。選者も先日、ある会合で一緒だった俳人だ。「元気の出る作品をとった」。講評が的確であたたかかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿