きのう(3月11日)は午後2時46分から、政府主催の追悼式を生中継するテレビに合わせて黙祷したあと、夏井川渓谷の隠居(無量庵)へ出かけた。
半月に一度のペースでわが家の生ごみバケツが満パイになる。それを隠居へ持って行き、庭の一角の菜園か堆肥枠のなかに穴を掘って空ける。2月22日以降、3月1日、8日と2回、日曜日がきたが、街で用事があって隠居へは行けなかった。バケツが生ごみであふれるほどになった。
前回埋めた隣に穴を、次はまたその隣に穴を――と順繰りに掘って埋めていけば、菜園全体の土が肥えていく。ところが、邪魔者がいた。ハクビシンかタヌキかは不明だが、埋めた生ごみをほじくりかえす。2月初旬に埋めた生ごみがほじくりかえされていた。
4年前の3月11日、渓谷では各所で落石が起きた。幹線道路もしばらく通行止めになった。その2日前、9日に生ごみを埋めに行った。正午近く、大地が揺れた。最初は静かにカタカタ、やがてガタガタと大きく揺れた。ラジオが津波に注意するよう呼びかけた。(それが3・11の前兆だったとは)
そんなことを思い出しながら、近くの小流れでバケツを洗った。小流れは9日夜半から10日未明に降った雨の影響でふだんより水量が多かった。落ち葉でバケツの内側をごしごしやっていたら、アッ! ジャンパーの内ポケットから手帳が小流れに落ちた。慌てて引きあげた。
急いで隠居へ戻り、中身を点検する。財布を持っていないので、手帳の革カバーの内側に紙幣や名刺、カードをはさんでいる。すべて取り出し、濡れているものは布でふき、電気カーペットの上に並べた=写真。石油ヒーターのそばにもいくつか並べた。
うーん、困った。どのくらいカネを持っているかは、本人以外は知らない。けたの大きい紙幣も、ふだんより1、2枚多かった。それは一番下にあって、ほんの少し濡れただけですんだので、こたつの中で乾かした。
あの日を思い出して気が重くなった。うまいものでも食べて軽くするか。ステーキは?――なんて思った矢先のポチャンだった。大事なものを水に流さなくてよかった。
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