竜田一人さんの漫画『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2)』=写真=を読んだ。1巻は去年(2014年)の4月下旬に発売された。発売からちょっとたったあと、カミサンが東京へ用があったときに東京駅の書店で買った。2巻は、新聞広告が載るとすぐ、私が街へ用があったついでにラトブの本屋で買った。
いわきは震災に伴う原発事故の収束作業、双葉郡・いわきの除染作業のベースキャンプ地だ。いわきに住んでいる人間は、今、1F(いちえふ)がどうなっているのか、いちいち口に出してはいわないが、胸中、絶えず気になっている。身近な人間が作業に加わっている、という人も少なくない。傍観者ではいられないのだ。
家族、親類、友人、知人が1Fでどんな作業をしているのか。漫画はその「現実」を「見える化」した。本の帯に「(作者が)その目で見てきた『福島の現在』」とある。1Fの「現在」、いわき・相双、つまり浜通りの「現在」、国道6号の「現在」……が描かれる。
いわきの「現在」では、塩屋埼灯台、パチンコ店、バー・クイーン、銭湯、仮設住宅などが登場する。
作業員をピックアップする場所が、わが家から車で3分ほどのパチンコ店だった。外観は多少、デフォルメ(変形)してある。休みの日に、いわきにある双葉町の仮設住宅を慰問して歌謡曲を披露する。仮設のサポートセンターを仮名にしているが、NPO関係者などは実名称がすぐ思い浮かぶだろう。1巻のときにも感じたことだが、漫画の基調はリアリズムだ。
第11話「ギターを持った作業員」に登場する歌謡曲は「兄弟船」と「みだれ髪」。岡本敦郎が歌った「高原列車は行く」も出てくる。こちらは作詞・丘灯至夫、作曲・古関裕而の福島県出身コンビだ。個人的なことだが、飲み会でカラオケのマイクが回ってくると、これをうたってあとは勘弁してもらう。このコマだけで作者の人間性がわかった、ように思えた。
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