2015年3月17日火曜日

春の声

 日曜日(3月15日)の夕方、マイ皿を持っていつもの魚屋さんへ刺し身を買いに行った。生のカツオが入荷しない冬場は、タコのほかにホッキガイ、マグロ、ブリなど、あるものを足してもらう。「タコと、あとは……」といいかけたら、「カツオがあります!」「エッ! では、それ」「足りない分はタコで?」「そうして」。簡単に話が決まった。
 冷凍ものではない、今年初めての生のカツ刺しだ=写真。日中、月末の総会を控えて、行政区の役員会が開かれた。3週連続して日曜日に用事が入った。仕事から解放された夕方の、思わぬ“ごほうび”だ。

 おそらく九州あたりから飛行機で運ばれてきたのだろう。脂はのっていない。が、のっていないなりに新鮮でうまかった。若ダンナが試食してまずまずだったので、「カツオあります」となったようだ。今年最初の春の声である。耳が喜び、皿に盛られたカツ刺しを見て目が喜び、食べて舌が喜んだ。

 翌月曜日のきのうは、福島県立高校の合格発表の日だった。疑似孫が受験した。今は受験番号しか発表しない。校内のほか、古巣の新聞社の前など、街なかにも臨時の掲示板が立ち、学校からもらってきた番号簿が張り出される。番号を聞いていれば、簡単に確かめられるのだが、そこまで立ち入るのも……と遠慮していた。

 親に連絡したものかどうか迷っていると、夕方6時近くなって、当の本人から電話がかかってきた。受話器を握ったカミサンの声が、ワンテンポおいて急に大きくなった。私もうながされて電話に出た。「受かったよ」「ありがとう、あ、違った、おめでとう」。なんで「ありがとう」になったのか、自分でもおかしかったが、きっと春の声に脳みそがはずんだのだ。

 助産院で初対面をしてから15年、疑似孫の成長の様子をはたから見てきた者として、やはり感慨深いものがある。両親にも、妹にも「おめでとう」と伝えて――といって電話を切った。

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