2016年10月20日木曜日

ハクチョウ飛来

 街からの帰りには夏井川の堤防を利用する。「川のある風景」を眺めるために。そして、今はハクチョウの飛来の有無を確かめるために。
 きのう(10月19日)、午後1時からの会合に合わせて昼過ぎに堤防を経由して街へ出かけた。福島市の阿武隈川にハクチョウが飛来した、というニュース(福島民友)がネットにアップされていた。ならば、いわき市の夏井川にも――。
 
 図星だった。8羽が平・塩~中神谷地内にかたまって羽を休めていた。カメラに収めることができたのはうち6羽=写真。肉眼ではもちろん、車に常備の双眼鏡でもはっきりしなかったが、コハクチョウらしい。
 
“予兆”はあった。さきおとといの昼過ぎ、街からの帰りに堤防を通ると、マガモが数羽、下流から飛んで来た。今シーズン初めて見る冬鳥だ。いよいよ、秒読み開始。街への行き・帰り、いずれも堤防を利用しよう。1~2時間の間にハクチョウが飛来しないとも限らないから――そう決めた矢先の第一陣だった。
 
 長谷川博著『白鳥の旅――シベリアから日本へ』(東京新聞出版局、1988年)によると、コハクチョウは北極海沿岸から北緯60度の間のツンドラ帯で営巣・育雛する。オオハクチョウはそれより南の森林ツンドラからタイガ(針葉樹林)帯が繁殖地だ。繁殖地と越冬地との距離の長短には体の大きさ(重さ)が関係しているらしい。

 猪苗代湖に飛来したのは10月8日。オオハクチョウ3羽とコハクチョウ2羽が確認された(福島民報)。17日、阿武隈川にやって来たのはオオハクチョウ4羽とコハクチョウ1羽。いわきへはまず、コハクチョウがやって来る。オオハクチョウは遅れてポツリ、ポツリと現れ、年明けの真冬にその数を増す。オオハクチョウが早々と福島県内に現れたのは珍しい?

 夏井川の対岸、平山崎地内では文字通り、山の先端の急カーブで道路拡張工事が行われている。ハクチョウが越冬するそばの細長い河畔林が、それで伐採された。風景が変わってとまどっているのか、ハクチョウは少し下流に舞い降りた。
 
 同じく河畔林の前、川から突き出た岩場を休み場にしているウも、今は下流の中州に移動して羽を乾かしている。上流の中州でも休んでいる。黒い鳥と白い鳥、そして地味な色のカモたち。ハクチョウおじさんが亡くなったあと、近くの女性がえさをやるようになった。本格的にえさやリが始まったら、ハクチョウは新川との合流点に戻ってくるだろう。

 この時期、鳥たちが季節の移り行きを教えてくれる。なにより、ハクチョウの第一陣をこの目で最初に確かめられたのがうれしい。

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