この時期、夏井川の堤防や郊外の農道を通るたびにチェックするものがある。というより、目に飛び込んでくるので、ゆっくり車を動かしながら、ここにもあそこにもと「アレチウリマップ」を頭の中に描く。その一つ(これは歩いて気づいた)――。
夏井川渓谷の小集落・牛小川に“更地”がいくつかある。わが隠居の東隣、「錦展望台」がそうだ。家があった。西隣の東北電力空き地は社宅跡だ。そこから1軒おいたところにも廃屋があった。その隣は一段下がって公衆トイレがあったような……。
錦展望台も電力空き地も、所有者が草を刈る。わが隠居の庭も年に2回は人に頼んで草を刈る。きのう(10月2日)、隠居で土いじりをしたあと、近所へ用があって出かけたら……。電力空き地はきれいに草が刈られていた。トイレ跡は、アレチウリが土手まで覆い、道路をうかがう勢いだった=写真。
7年前の2009年秋、牛小川で初めてアレチウリに気づいた。隠居の対岸のやぶをアレチウリの葉が覆い、つるがそばの2本の高木まで伸びていた。長い柄のついた小鎌で根元からつるを刈り払った。そのあと、気になって集落を巡ったら、廃屋と公衆トイレ跡の間にアレチウリが葉を広げていた。きのうアレチウリを見たところと同じ場所だ。まだ草刈りをしているようだからその程度ですんでいるのかもしれない。
アレチウリはおびただしい数の種をつける。こぼれた種を鳥が食べて、よそでフンをする。大水が上流から下流へと種を流す。それで一気にアレチウリが広がる。ヨシ原をアレチウリが覆うのを見たことはないが、ヨシ原のそばの木がアレチウリで覆われている姿を見かける。そうなると、木は光合成ができないから弱って枯れる。
外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で規制されている侵略的な植物だ。花が咲けば実がなるから、種をつけさせないためには花を咲かせないことだ。アレチウリを見つけたら引っこ抜く・刈り払う――つまり「広げない」を一人ひとりが意識して実践しないと、あっという間に広がる。
草刈りは、農・山村の景観を守るための基本作業だが、侵略的な植物を防ぐ効果もある。これを続けていれば、ひとまず拡大は抑えられる。
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