2017年9月26日火曜日

三春ネギの味噌汁

 原発事故で三春ネギの栽培サイクルが狂った。
 三春ネギは秋に種をまく。夏井川渓谷の隠居の庭が2013年冬、全面除染された。その年、種まきを休んだ。1年後、種をまいたら発芽した。2年目の種の発芽率は悪い。それでも、芽生えたネギを初夏に定植した。
 
 種を切らすわけにはいかない――原発事故がおきたとき、意地でも栽培を続けると決めた。この6年は「食べる」より、「種を採る」ためだけの栽培だった。

 初夏に種を採って秋にまく。翌年、定植して秋に収穫する。数本残して越冬させる。その親ネギがネギ坊主(種)をつくるのは、採種から足かけ3年目の初夏だ。
 
 去年(2016年)は「筋まき」でも、「点まき」のようにややすき間をおいたのがよかったらしい。20年ほど栽培して初めて元気な苗ができた。
 
 鉛筆のように太いネギ苗は大きく育つ。線香のように細い苗は定植しても細いままだ。とはいえ、全部が全部育つわけではない。ネキリムシにちょんぎられる。雨が多いと根腐れをおこす。夏に天候不順が続いた。が、今年は浅く植えて高く土寄せをする方法に切り替えたので、なんとかもちこたえた。
 
 田村地方では、月遅れ盆のころ、斜めに植えなおして曲がりネギにする。渓谷の住民に聞けば、定植したまままっすぐに育てるという。それにならって斜め植え(やとい)はさぼった。
 
 おととい(9月25日)、追肥と土寄せをしたついでに、間引きを兼ねて4本を引っこ抜いた。震災、いや原発事故後初めて、「食べる」ためにネギを収穫した。10月8~9日には種をまく。苗床用のスペースも決めた。

 味蕾に記憶されているのは、ジャガイモとネギの味噌汁。きのう朝、それが出た=写真。市販のネギと違って、甘くやわらかい。やっとネギ栽培のサイクルが元に戻りつつある、という実感がわいた。

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