2017年9月18日月曜日

雨の日曜日、北茨城へ

 天心記念美術館でルドン?――北茨城市の茨城県天心記念五浦美術館で「ひとのかたち」展が開かれている(10月15日まで)=写真(チラシ)。フェイスブックに、同館による紹介レポートが載った。ルドンの作品もあると知って、心が動いた。
 日曜日は夏井川渓谷の隠居へ出かけて土いじりをする。しかし、きのう(9月17日)の日曜日は台風18号の影響で雨になった。行っても土いじりはできない。

 まだ曇天の朝6時、花火が鳴った。隣の草野地区で市民体育祭が行われた。その合図だったか。会場は草野小学校。雨になれば、校庭から体育館に移して実施する。晴れても降ってもやる。今年(2017年)は市長選、去年は市議選で開催日がずれこんだ。わが神谷(かべや)地区は前倒しをして、8月末の日曜日に実施した。まずまずの天気だった。9月はやはり台風の影響を受けやすい。

 朝食をすませたころ、雨が降り出した。草野の体育祭は体育館か――そんなことをチラリと思いながら、北茨城へ車を走らせた。
 
 わが家から北茨城へはわりと簡単に行ける。国道6号常磐バイパスの終点近くに住んでいる。バイパスに乗れば、いわき市の南端・勿来まで20分ちょっと。それから国道6号を南下し、北茨城市に入って何分もたたずに左折するとすぐ、海食崖の上の天心記念美術館に着く。

 勿来地区に入ると、いつも思うことがある。晴れていても雨が降っていても、なぜか空が明るく感じられる。「関東の空だ」。海岸部は県境の平潟隧道をはさんで関東平野に接続している。今度もJR常磐線勿来駅前を通過するとき、同じ思いがわいた。坂上田村麻呂に征服された蝦夷(えみし)の末裔の血がそうさせるのだろうか。

 さて、ルドンといえば、岩山の陰から一つ目の巨人がぬっと現れ、草地に横たわる裸の妖精を見おろしている「キュクロープス」が思い浮かぶ。怪奇的なのに色合いが多彩なために、どこかユーモアが漂う。

 展示されている作品はモノクロームだ。「『聖アントワーヌの誘惑』第3集より」の石版画(リトグラフ)6点で、闇と接続するように、人とも神ともつかぬ存在のいのちが幻想的に描かれる。フロベールの幻想的な小説『聖アントワーヌの誘惑』の“挿絵”と考えるとわかりやすい。
 
 企画展のポイントは「誰かの像」「視線の行方」「表現されるからだ」の三つ。ルドン作品は「誰かの像」、つまり内面までも表現された肖像を示すコーナーにあった。
 
 写真のチラシでいうと、横に3点並んだ右端のモノクロ作品がそのひとつ。口をぎゅっと結んでなにかをにらみつけている人間の顔、西欧人というより東洋人、なかでも現代日本にいそうな若者の顔――のように見えないこともない。これはこれでリアルな人物像だ。
 
 ルドンを見たあとはいわきに戻り、市立美術館で16日に始まった「現代アートの輝き―多様な人間像―ピカソからウォーホルまで」をのぞこうと思ったが、泉でうろうろしているうちに雨脚が強まった。“日曜美術館”はそれまでにして、家に帰って昼寝をした。

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