梅雨期に入ると毎年、夏井川渓谷の隠居の庭にマメダンゴ(キノコのツチグリ幼菌)が発生する。内部が白いうちは食べられる。
6月中旬、チェックを始めると、球体が六裂し、中央にホオズキのような袋を付けたツチグリの残骸があった。もう発生した? いや、前年の残骸ではないのか。地面をなめるように見ると、幼菌発生の兆候はどこにもなかった。
6月25日。全面除染で砂浜のように白くなった地面から、茶色い頭の一部(マッチ棒の軸先大~人間の小指大)がのぞいていた。右手人さし指でグイッとやると、転がり出た。周囲の地中にも同じ球体の感触がある。そちらもまさぐると、マメダンゴが現れた。最大2センチほどの幼菌が20個ほど採れた。二つに割ると、全部白い。炊き込みご飯にして食べた。
一回食べたからもういいや。あとは成菌になって裂開し、胞子を放出するまでを写真で記録しよう――。珍しく食欲を封印した。時系列でマメダンゴの変化を簡単に記す。
【7月】2日=まんべんなく、ではなくて、スポット的にマメダンゴが頭を出す。その数ざっと50個。次の週は、変化なし。16日=白っぽい表面の色が茶黒くなる。23日=裂開を始めた個体がひとつ。
【8月】6日=表面が緑灰色に変化した個体があった。カビにやられたか。13日=全体を地上に現した個体がある。パチンコ玉大だ。24日=試しに大きいものを踏むと、「プシュッ」とかすかな音がして裂けた。
【9月】3日=表面にひびの入った個体がいくつか現れる。ひびは十字状、あるいはベンツのエンブレム似とさまざまだ。コロンと地上に現れた個体を二つに割ると、中がチョコレート色だった=写真。胞子の放出まで時間の問題だ。10日=裂開が近そうな個体が増える。
隠居へ行くたびに写真を撮ってわかったのだが、ツチグリは、幼菌が地中で形成され始め、地上に出て裂開し、胞子を放出するまでに時間がかかる。収穫せずに放置しておくと、かなりの数の幼菌が地上に現れる。6月下旬~7月上旬の旬の時期に2~3回は試食しても大丈夫かもしれない。ただし、ヒトデにホオズキの実をくっつけたような新しい残骸にはまだお目にかかっていない。
*
11日に少し先走って告知した毎日新聞の連載「復興断絶・東日本大震災から6年半 つながりたい」ですが、きょう(9月14日)掲載になりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿