夏井川渓谷の小集落・牛小川に隠居がある。集落では夏井川上流の田村郡から伝わって来た三春ネギを栽培している。22年ほど前、土地の人から三春ネギの苗を譲り受けて、隠居の庭で栽培を始めた。
東京方面から伝来したいわきの平地のネギ(千住系)と違って、三春ネギは秋まきだ。
それぞれの栽培者によれば、「種まく日」は平地のネギが4月10日、山地の三春ネギが10月10日と決まっている。ちょうど半年のズレがある。三春ネギは、10月10日が祝日でなくなってからは、その日に最も近い週末にまく。今年(2018年)は、時間がとれなくて作業が遅れ気味になった。9月30日・石灰散布、10月5日・肥料すき込みのあと、3連休最後の体育の日(10月8日)に種をまいた。
ネギと白菜――これがこの冬、「自産」で手に入る予定の野菜だ。白菜は8月下旬に種をまいた。芽が出たのはいいが、およそ半分は発芽しないか、発芽しても消えた。種まき直前に菜種の油粕をまいて土にすき込んだ。それから発生したガスで発芽障害がおきたらしい。虫に食われたり、育ちが悪かったりして、半数の15株ほどは補植が必要になった。
白菜の種をまいたあと、余った種を育苗トレーに埋め込み、自宅の軒下に置いて水やりを続けたら、本葉が出てきた。おととい(10月11日)、これを隠居へ持って行って補植した=写真。もったいないので、時期を失しないうちに種をまいた。それだけのことで、補植を想定していたわけではない。結果的にはこれがよかった。
晴れていると、定植した苗がすぐしおれる。苗のストレスが少ないように、曇雨天を狙った。小雨の中、コートを着て作業を続ける。終われば、やはり気持ちが晴れる。
ネギの話に戻る。去年は三春ネギの消費を抑えて越冬させ、夏にいっぱいネギ坊主を収穫した。いつもの3~4倍の種が採れた。苗床もそれに合わせて拡大した。白菜補植に合わせて苗床をチェックすると、早くもモグラ道ができて一部が盛り上がっていた。これが繰り返されるとネギ苗は枯れる。
モグラその他による目減り対策として、白菜を補植して空いた育苗トレーに土を盛り、ネギの種をまいた。それが、きのう(10月12日)の朝。こちらはわが家で管理する。ネギの発芽・育苗過程もじっくり見ることができる。
野菜は種まき時期を逸すると、1年先、あるいは半年後まで待たないといけない。三春ネギに関しては、ざっと半年先の春の定植、1年半後の採種を念頭において種をまく。今年も10月10日をはさんでこれを終えた。白菜苗の補植も済ませた。子どもではないが、大きな宿題が終わったので、どこかへ遊びに行きたい気分だ。
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