2018年10月15日月曜日

勿来と泉ケ丘へ

 三春ネギの種まきを終えた。白菜苗の補植も済ませた。日曜日、夏井川渓谷の隠居へ行っても、することがない。カミサンが「勿来の『青空ゆいまーる市場』へ行きたい」という。泉ケ丘のギャラリーいわきでは、あす(10月16日)まで阿部幸洋新作展が開かれている。きのう(10月14日)、骨休めを兼ねていわきの平野部を往復した。
いわき市はかつて、日本一の広域都市だった。北から大久川、夏井川、藤原川、鮫川の4水系で市域が構成されている。私は、夏井川の下流域に住む。上流域の隠居と自宅は車で30分。移動するのになんのためらいもない。が、藤原川を越えて鮫川流域へ――となると、けっこう覚悟がいる。それだけいわきは広い。

「青空ゆいまーる市場」はフリーマーケットだ=写真上。若い仲間の奥さん(臨床心理士)が中心になって、年に一回開いている。彼女は空き店舗を利用した交歓の場「なかゆくい」を主宰している。フリマはその一環でもある。カミサンがシリアの「アレッポのせっけん」の販売を委託したこともあって、顔出しと買い物を兼ねて出かけた。

「なかゆくい」も「ゆいまーる」も沖縄のことばだ。「なかゆくい」は「一休み」、「ゆいまーる」は「相互扶助」=「結(ゆい)」のこと。主宰者が沖縄で仕事をしていたことがある。お気に入りのことばなのだろう。

もう30年以上前になる。いわき民報の勿来支局に勤務し、鮫川流域を取材エリアにして駆けずり回った。「なかゆくい」のある窪田町通にも何度か足を運んだ。が、当時よりシャッターを下ろしている店が多いような気がする。日曜日だから? あるいは、文字通り「シャッター通り」になってしまった?

フリマをのぞいたあとは、泉ケ丘へ――。支局時代同様、山際を縫う昔の「浜街道」を利用した。植田~添野~渡辺と進めば、丘陵を切り開いた泉ケ丘までは近い。

ギャラリー=写真下=で画家の阿部と旧交を温める。彼が故郷のいわきで初めて個展を開いたのは19歳。そのころからの付き合いだ。今はスペインに住む。「とうとう定年退職の67歳になった」という。何のことかと思ったら、年金受給の話だった。
スペインでは、年金生活者が働くと、収入の半分は税金として持っていかれるそうだ。仕事をしないで年金で暮らすよりは、税金を払ってでも仕事を続けた方がいいに決まっている。死ぬまで絵描きをやめられない人間には、定年退職はないのだから。

晴れていれば、勿来へ行くといつも北関東の開けた空を感じる。曇っていたので、今回はそうでもなかった。が、夏井川水系の人間が鮫川水系の人間に会いに行き、藤原川水系で個展を開いている人間と茶飲み話をする――いわきならではの長い“市内ドライブ”になった。

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