2018年10月7日日曜日

『場づくりノート』

 国際NGOのシャプラニール=市民による海外協力の会に関係している縁で、たまによそのNGO・NPOスタッフと会って話したり、取材を受けたりする。「傍観者」の新聞記者時代とちがって、今は地域コミュニティの真っただ中にいる「当事者」だ。原発震災後の福島は、とりわけコミュニティ再生が課題の一つになっている。その観点からの取材・意見交換が多い。
 地域図書館「かべや文庫」を主宰しているカミサンが、福島市にある認定特定非営利活動法人・市民公益活動パートナーズから取材を受けた。ついでに、行政区のこと、いわき地域学會のことも――となって、私もいろいろ聞かれた。取材のポイントは、文庫が地域住民と原発避難者との交流の場になっているところにあったようだ。

 後日、『場づくりノート』=写真=という小冊子が届いた。私らのほかに、「ふるさと豊間復興協議会」(いわき市)、NPO法人や一般社団法人の「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島&ふくしま総合相談センター」(郡山市)「いちばん星南相馬プロジェクト」(南相馬市)「「ビーンズふくしま」(福島市)「くらスタ」(田村市)、それに編集・発行元のパートナーズが紹介されている。

「ふるさと豊間」は津波被災からの帰還向上・住宅再建支援などを、「しんぐる」はひとり親家族の互助や被災者・避難者支援を、「いちばん星」は復興支援ボランティアと地元のニーズのマッチング、農家民宿・里山づくりなどを、「ビーンズ」は子育て支援や避難中の親子の交流拠点運営などを、「くらスタ」は住民主体の地域づくりや移住・交流人口増を図る事業などを展開している。

「パートナーズ」は災害復興公営住宅団地と地元町内会・住民による交流の場づくり、地域の声を聴く機会の創出、福島からの情報発信などを活動の柱に据えている。NPOなどを支援する、「行政の枠を超えた広域の中間支援組織」でもある。

『場づくりノート』の巻頭にこうあった。「これからの福島を、地域に暮らす人たち自身の手で創っていく。そのためには多様な『場づくり』が大切だけど、そうそう簡単にはいきません。紹介した7つの事例が、チャレンジする人たちへのエールとなりますように」

イベントを中心にした非日常的な被災地支援はメディアも取り上げやすい。ところが、地域コミュニティの再生となると、日常的、かつ心の復興とも関係するから、メディアの嗅覚は鈍る。結果、一般の人には活動が見えにくい。『場づくりノート』は福島県内にどんな活動団体があるかを教えてくれる。私ら自身、ほかの団体のことはよく知らなかった。

「さまざまな人たちが集い、話す。心を癒し、明日への力を蓄える。つながり合い、支え合うことが、地域を元気にするチカラになる」(表紙のことば)。来る者は拒まず、去る者は追わず――の勝手流で少しでも前に進めればうれしい、と思う。

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