国際NGO、シャプラニール=市民による海外協力の会の「バングラデシュ駐在員帰国報告会2018」が、おととい(10月24日)夜、いわき市平字三町目のアートスペースもりたか屋で開かれた。
そのひとつが、家事使用人として働く少女たちへの基礎教育や保健衛生、性教育などの知識の提供だ。現地のパートナー団体とともに、ダッカ市内3カ所でヘルプセンターを運営し、14歳以上の家事使用人の少女には縫製、絞り染め、ブロックプリントなどの職業訓練を、さらに全員を対象にした授業では刺しゅう、調理実習、ペーパークラフト、アクセサリ―作りなどを行っている。
報告会では、首都ダッカの事務所で1年間、駐在員を務めた猪瀬絢子(あやこ)職員が、「ラジオで変える、バングラデシュで働く少女の未来」をテーマに話した=写真上1。
シャプラは、東日本大震災が起きるとすぐ国内支援に入り、いわき市平で5年間、交流スペース「ぶらっと」を開設・運営した。猪瀬職員は2014年10月から1年間、いわき駐在員を務め、地元NPOや市民とも交流を深めた。報告会にはそのときからの知り合いなど25人が参加した。
バングラの児童労働の数は320万人(2006年国連統計)。うち家事使用人は42万1千人(2007年国連統計)で、80%が女子。女子の8割弱は14歳未満だという。
家事使用人として働く女の子たちが直面する問題は多岐にわたる。①労働環境(長時間労働=休日がない、無給もしくは低賃金、外出の機会が限られる、教育機会が少ない、食事が粗末・不規則)②暴力などの人権侵害③本人の意思に反した結婚――。
こうしたことが起きる背景には、男女の扱いが異なる慣習の名残、婚礼時の持参金制度(ダウリー制度)、子ども(特に娘)は働いて当然という風潮、自宅に一人でいることの危険、などがあるそうだ。
子どもには学ぶ権利がある。シャプラは働く少女を支援すると同時に、雇用主・保護者、地域、一般の人々・政府を巻き込むべく、ラジオを通じた啓発活動にも取り組んでいる。猪瀬職員は家事使用人として働く少女などへのインタビューを通して見えてきた課題や成果などを話した。
報告会のあとはキーマカレーを食べながら歓談した=写真上2。猪瀬職員はいわき駐在中に知り合った支援活動仲間と、いわきの人間もまた支援仲間と旧交を温めた。
猪瀬職員はいわき時代、私のカミサンの義伯父の家を宿舎にしていた。私は元「大家」として、「店子(たなこ)」に注文を付けた。「これからの報告会の教訓として、もう少しゆっくりしゃべること」
アンケートにも、「バングラの児童労働の現状がよくわかった」「生の声を聴けてよかった」という声に混じって、猪瀬職員をよく知る人が「少し早口でした。聞く側にも一呼吸を」とアドバイスを記していた。われら年寄りからのエールでもある。
子どもに必要なのは、「箒(ほうき)」ではなくて「本」――。いわきのあとは11月24日まで、和歌山、大阪、東京、愛知で報告会が開かれる。
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