夏井川渓谷にある隠居の菜園で、唯一、昔野菜の「三春ネギ」を栽培している。梅雨に定植したネギがやっと収穫期を迎えた。
いつもだと、11月初めにはうねを掘り起こし始めるのだが、定植の遅れが気持ちのうえで尾を引いているようだ。
というのも、今年(2023年)の6月は日曜日に行事があったり、雨が降ったり、カンカン照りになったりして、なかなか作業に取りかかれなかった。半分はしかし、加齢による体力低下が理由だが。
東北南部は今年、6月11日に梅雨入りをした。もう先延ばしはできない、カンカン照りになってもネギ苗を植える――そう決めて、6月25日の日曜日、ネギ苗を植えた。午前中はさいわい雲が多かった。
苗の育ちはいつもと変わらない。5月後半に入るとネギの溝をつくり、さらに定植する前の週、シダレザクラの樹下でネギ苗を選別し、まとめて仮植えをしておいた。
定植といっても、5センチ間隔で1本ずつ手植えをする。それは変わらない。今年は段ボールを尻に敷いてうねに座り、溝に苗を並べた。
苗を植えること1時間半、数は150本ほどにすぎなかった。以前の半分、作業時間も半分で終わった。
ネギの溝切りと苗の選別を一気にやれば、ほぼ一日がかりだが、そんな体力はない。少しずつ分けて、時間をかけて作業をした。
一方で、人間の都合で先延ばしにできないものがある。種の確保だ。ネギの採種は、ネギ坊主の様子を見て決める。殻が割れて黒い種がのぞき始めたら、採りごろだ。
今年は、6月11日の日曜日は雨だった。そのうえ、ネギ坊主はまだ殻が割れていなかった。
ところが、1週間後の6月18日には一斉に殻が開き、黒い種がのぞいていた。すでに首を垂れ、種がこぼれ落ちたネギ坊主もあった。急いでネギ坊主を摘んだ。
これをわが家に持ち帰り、乾燥させて種とごみを選り分け、乾燥剤とともに小瓶に入れて冷蔵庫にしまったのが6月27日。
三春ネギは、いわきの平地のネギと違って秋まきだ。目安は10月10日。今年は3連休のまんなか、10月8日に土をならして苗床をつくり、たっぷり散水して種をまいた。
種はわりと順調に発芽した。隠居の冷蔵庫に去年の種の残りがあったので、それもまいたら芽を出した。
合わせるとけっこうな数になる。発芽から1カ月余り、苗床はすっかり緑で覆われた=写真。
やがて氷点下の真冬がやってくる。その前に防寒用のもみ殻を敷く。麦踏みならぬネギ踏みもする。それで春を迎えると、苗がぐんぐん伸びる。途切れることなくいつものサイクルでネギが育つ。
あとは今あるネギの収穫だ。古い苗床にも少しネギが残っている。まずはそれを収穫し、やがてうねの掘り起こしを始める。来年の採種用に数本を残して。
0 件のコメント:
コメントを投稿