2023年11月17日金曜日

あのスコットランド民謡が

                     
   水曜日(11月15日)の午後、茶の間で調べものをしていたら、カミサンがテレビをつけて映画を見始めた。

テレビは座卓の先にある。私は、パソコンのキーボードをたたいたり、ものを書いたりしているときには、テレビがついていても気にならない。

どこか外国の学校の物語のようだった。時間がだいぶたったころ、先生らしい人物が「オールド・ラング・サイン」(日本では「蛍の光」でおなじみのメロディー)を歌い出した。

おやっ? 手を休めて映像を追う。やがて教え子たちが同じ年ごろの、どこかのチームとサッカーの試合を始める。背の低い子がゴールを決める。

初めはサッカーに否定的だった親たちも、子どもたちと一緒になって試合を楽しむ。そんなシーンを経て映画は終わる。

監督などの名前が表示されるエンドロールで、また「オールド・ラング・サイン」が流れた。

スコットランド民謡で、詞はロバート・バーンズ(175996年)がつくった。バーンズはスコットランドの国民的詩人でもある。

いわきゆかりの童謡詩人野口雨情(1882~1945年)は若いころ、バーンズに親しんだ。

「己の家」という連作詩の<一 その頃>に「己は日暮方になると/裏の田圃の中に立つて/バーンズの詩の純朴に微笑んでゐた」とある。

 それだけではない。吉野せいの夫の三野混沌(吉野義也=1894~1970年)も、混沌の盟友の猪狩満直(1898~1938年)もバーンズに引かれた。

歌をきっかけに、ネットで映画の解説を読んだり、予告編を見たりして、どんな作品だったかを確かめる=写真。

映画は2011年、ドイツで製作された「コッホ先生と僕らの革命」で、第1次世界大戦前のドイツ帝国が舞台だ。

イギリス留学から帰国したコンラート・コッホが、有名校である母校に初の英語教師として赴任する。

反英感情が高まっていたドイツで、子どもたちはイギリスや英語に対する偏見を植えつけられていた。

コッホ先生はそれをほぐすために、サッカー用語を介して英語を教え、実際にサッカーも指導する。

それに反発した親たちがコッホ先生の解職に動く。が、生徒たちはサッカーを続け、イギリスからやって来た同世代のチームと対戦する。

コッホ先生は「ドイツサッカー界の父」といわれており、実話をもとに映画がつくられた。サッカー大国・ドイツも、およそ150年前まではサッカーと無縁だったと知って驚いた。

「オールド・ラング・サイン」」は、欧米では大みそかのカウントダウンのあとに歌われる「新年ソング」としても知られているそうだ。

 旧友と再会し、懐かしい日々を思い起こして、グイッとやろう――。そんな歌詞に、仲間とサッカーに励んだ日々が、サッカーを通じて培った友情が重なる。それはきっと人生の宝となったにちがいない。

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