2023年11月10日金曜日

ハヤトウリの糠漬け

                     
   若いときに仕事で知り合ったご夫婦がいる。出会ったのは、ダンナさんより奥さんが早かった。

東京からJターンをして夕刊のいわき民報社に入り、駆け出し記者がそうするように警察回りを始めた。そこに奥さんが事務職員として勤めていた。

やがて市役所担当に替わると、庁内を巡るうちに顔なじみになる職員の数が増えた。その一人がダンナさんだった。

お二人が夫婦で、しかも同じ地域に住んでいると知ったのは、ざっと40年前、今の家に引っ越してからだったように思う。

で、会えばもちろんあいさつをする。が、行ったり来たりするほどの深い付き合いではない。家も国道をはさんで離れている。

その奥さんが先日、自分のところで栽培しているハヤトウリやナス=写真=を持ってわが家へやって来た。

コロナ禍で行事の中止・延期が続いたころ、紙面の埋め草として古巣の夕刊で拙ブログの転載が始まった。今も紙面の都合で休んだり、連続して載ったりする。

この秋には「ハヤトウリは糠漬けにする」「11月まで糠漬けをやっている」といった内容の文章が載った。それを読んで奥さんがハヤトウリを届けてくれたのだった。

さっそくピーラーでハヤトウリの皮をむき、縦に四つに割って未熟な種を取り除き、糠床に入れた。皮が薄いので、むかなくてもよさそうだったが、念のためにそうした。

ハヤトウリの皮をむくか、むかないかで悩む人は多いらしい。ネットには、むいた方がよりおいしく食べられる、とあった。皮なしはやわらかいから、高齢者向きでもある。

1回目は24時間、2回目は18時間で取り出した。ハヤトウリはなんといってもシャキシャキした歯ごたえが持ち味だ。まる一日では漬かりすぎの感じがしたので、2回目は時間を短縮した。

切り方にも工夫が要るらしい。最初、たくあんのように厚めに切ったら、文句が出た。私はその方が、歯ごたえがあっていいのだが、食べてもらうには切り方を変えるしかない。

2回目はせん切りにしてみた。これなら弱った歯にもそんなに負担がかからないだろう。とにかくいろいろ試してみることにした。

11月8日は立冬だった。暦の上では冬がきたが、まだ半そでで過ごす人もいる。さすがに西高東低の気圧配置になると、風は冷たい。

そんななかでもお福分けが届く。ハヤトウリと前後して、庭の木に生(な)ったからと、ユズやミカンをいただいた。楢葉町の知人もミニトマトその他を持参した。

ある晩のおかずは、材料がすべてお福分けだった。初冬には初冬の「口福」がある。

それだけではない。ミカンは皮を捨てないで干しておく。柿の皮も干す。どちらも白菜漬けの風味付けに利用する。

糠漬けのハヤトウリをパリパリやりながら、気持ちは次第に白菜漬けの準備に向かっていた。そういう時節になった。

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