2023年11月2日木曜日

秋の山里巡り・下

                     
 日曜日(10月29日)の昼前、夏井川渓谷の隠居から川前町に入り、宇根尻から夏井川を渡って山道を駆け上がり、三和町差塩(さいそ)に出た。

 山道は大型車両が通れない“いろは坂”で、珍しく川前へ下って来る乗用車とすれ違った。ヒヤリとした。対向車両はない――などと油断しては、やはりいけない。

 くねくねして細い道を上りきると、平坦な台地が広がる。稲刈りが終わった田んぼの一部で、稲のわら束がいっぱい立てかけられていた=写真。「わらぼっち」や「はせがけ」はよく見るが、「わら立て」は珍しい。

九州の佐賀平野では、刈り取って脱穀したわら束を互いに寄りかかるようにして立て、7~10日ほど乾燥させたあと、「むしろ」の原料として出荷するらしい。差塩では何に利用するのだろう。

 家庭菜園でさえ乾燥稲わらはいくらあってもいい。秋に種をまいて芽を出したサヤエンドウなどの防寒になる。雑草の発生を防ぐ。ネギ溝に敷くと、防湿や土中の酸欠予防になる。

 わら立てのある田んぼを過ぎると間もなく、旧差塩小・中学校近くの交差点に差しかかった。いつものように停車し、信号機が感知して青になるのを待とうとしたのだが……。あれっ、信号機がない!

最初は自分の目を疑った。しかし、やっぱり信号機がなくなっている。「止まれ」の標識はある。これは、前はなかったような……。

あとで、グーグルマップで確かめる。ストリートビューの映像には、信号機はない。今年(2023年)7月に撮影された。過去の映像、たとえば5年前のものにはちゃんと信号機がある。

川前からの道路は「従道路」、交差点の角に「止まれ」と「横断歩道」の標識が立つ。左右の道路は「主道路」。その証拠に「止まれ」の標識はない。

この交差点は、年に1回は通る。おそらく今年度に入って信号機が撤去されたのだろう。

警察庁が定めた指針がある。警視庁などはそれに基づいて交通信号機が必要かどうかを判断する。

手順としては、地元警察が住民・自治体からの要望を受け、本部に上申する。本部は予算措置をして公安委員会の決裁を受ける。設置そのものは翌年度になる。廃止もまた同じ手順で決まるのだろう。

確かに、いつ利用しても対向車両などはないに等しかった。そこに信号機があったのは、差塩小・中学校の近くだったからだろう。

過疎化・高齢化のうえに学校が統廃合でなくなった。車の交通量が少ないだけでなく、歩行者も減った。見通しはいい。標識で十分となったにちがいない。

というわけで、差塩の風景の変化に驚きながら山を下り、好間川に沿って「三和の里フェスティバル」の会場に着く。

ちょうど正午間近だった。大にぎわいの中、三和ふれあい館2階で新そばの「かけ」を食べた。ここにも長い行列ができていた。

屋外にはキッチンカーなども出店していたが、やはり「新そば」の魅力に引かれた。量がもう少しあれば、言うことなしだったが……。

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