ハクチョウの北帰行に合わせて、こんなことを書いた。月曜日(3月18日)にいわき駅前へ行くと、街路樹のハクモクレンが開花していた――。ソメイヨシノの花はまだかいな、という思いがあったので、ブログを次のように締めくくった。
「姿を消したハクチョウ、街なかのハクモクレンの花、堤防の菜の花……。春を告げるのは、樹種でいえば、ソメイヨシノではなくてハクモクレン、なんてことになりかねない?」。その続きといってもいい。
ソメイヨシノの開花は春のシンボル――そういう思いが強い。気象庁が生物季節観測にソメイヨシノを選んで以来、「春を告げるサクラ」はヤマザクラではなく、ソメイヨシノに替わった。
それぞれの地域に標本木(ソメイヨシノ)がある。そのサクラの開花が春の到来を告げる目安になった。
いわきの場合は旧小名浜測候所内にあるソメイヨシノが標本木だ。測候所が無人化されてからは、市民団体と元職員が協力して同じソメイヨシノをチェックし、「開花宣言」をしている。
メディアによる気象庁の発表が浸透し、市民もまたソメイヨシノの開花を春の目安として受け入れてきた。
それに慣れた人間には、ほかの樹種、たとえばアセビやマンサク、白梅が咲いても、春の一歩手前の早春の花、という受け止めだ。
確かにマンサクや白梅が咲いても、まだまだ寒い。寒の戻りがあるので、春という実感はない。
やはり、春はソメイヨシノの花とともに、なのだが……。現実にはハクモクレンのように、ソメイヨシノより開花の早い樹種がある。
庭のプラムもそうだ。開花まで秒読み段顔に入った。つぼみを膨らませ、白い花弁の一部をのぞかせている=写真。
身近過ぎてノーマークだったが、プラムは早いと3月中、遅くても4月に入ると満開になる。令和2(2020)年の場合は、春分の日あたりには咲き出した。同じ平地のソメイヨシノよりは早い。
ソメイヨシノとほぼ同時というのもある。夏井川渓谷の隠居へ通い始めてから30年近い。渓谷では春になると、アカヤシオ(岩ツツジ)が真っ先に咲く。
アカヤシオの開花は主に4月の前半だ。その花を見てきてわかったのだが、平市街のソメイヨシノと渓谷のアカヤシオは、開花時期がほぼ同じだ。これだけは今のところ変わらない。
日曜日(3月24日)に隠居の庭から対岸の森を眺めたが、アカヤシオのピンクの花はなかった。小名浜のソメイヨシノ(標本木)もまだだ。
去年(2023年)は3月18日の土曜日にアカヤシオの開花を確認した。小名浜のソメイヨシノは3月22日午後に開花が確認された。
今年は寒の戻りが続いていて、「春のセンサー」がうまく働かないようだ。気象予報士も予測がはずれている。
もうソメイヨシノから自由になってもいいのではないか、自分の「春の木」を持ってもいいのではないか、そんな思いがふくらむ。
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