2024年9月13日金曜日

ハグルマトモエちゃん

                    
 夜も寝るまで茶の間のガラス戸を開けている。蚊取り線香は朝から絶やさない。扇風機もかけっぱなしだ。

 庭の一部と勘違いして、昼はアゲハチョウやハナアブ、夜はセミやコガネムシなどが茶の間に飛び込んで来る。

 近年は夜、アオマツムシが家の中に入って来て、「ギーギーギー」とうるさく鳴き交わすようになった。

 自分のブログをチェックすると、平成20(2008)年9月に初めてアオマツムシについて触れ、同22年にはわが家の庭にも現れ、樹上でうるさく鳴き交わすようになった、ことを書いている。

秋を告げる庭の虫といえばコオロギだったが、いつの間にかわが家ではこのアオマツムシがとって代わるようになった。

国道の街路樹で夜、「ギーギーギー」と鳴き騒いでいる新参者――アオマツムシは最初、そんなイメージだった。

そこから沿道の民家へと生息範囲を広げていったのか、平成22年9月1日に初めて茶の間に飛び込んできた。次の夜も現れた。これが始まりだった。

 以来、今年(2024年)で14年。去年と同様、今年も記録的な猛暑が続く。室温は、昼は真夏日(ときに猛暑日)、夜は熱帯夜。9月に入っても「暑い夏」は終わらない。

 夜、茶の間から寝室に移ると、アオマツムシも同じように移動して、天井や壁に張りついて鳴き続ける。この音で目が覚めることもある。

 「飛んで火にいる夏の虫」。今は電灯だから、ろうそくの火に飛び込んで焼け死ぬなんてことはない。代わりに、いろんな虫が電灯にぶつかる。

 先日の夜は、見たこともない蛾がやって来た=写真。色は全体に樹肌色だが、翅を広げたときの模様がおもしろい。クジャクチョウみたいに目玉が付いている。

 「蛾/目玉」をキーワードに検索すると、ハグルマトモエのメスらしいことがわかった。専門サイトに当たると、ヤガ科の蛾で、本州・四国・九州に分布する。幼虫の食草はネムノキだという。

メスは前翅に「巴(ともえ)」のような形をした眼状紋がある。仲間にオスグロトモエがいる。そのメスに酷似するというので、ネットの画像と自分で撮った写真を比較する。いよいよハグルマトモエらしいという確信が強まる。

前翅の眼状紋と、目玉の間の紋様を組み合わせると、「ギョロ目のだるま」に見えなくもない。

蛾があらわれたとき、びっくりして体をよけたカミサンに和名を教えると、「かわいい名前だね」。なんだそうか、「ハグルマトモエちゃん」だな、これは。

あえて漢字を当てると、「歯車巴」になるらしい。それでは味気ない。「歯車」ではなく、せめて「葉車」でなくちゃ――などとチャチャを入れたくなるのは、やはりギョロ目が強烈だからだ。アオマツムシにうんざりしていた身には、またとない気分転換になった。

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