2024年9月26日木曜日

続・倒木停電

                     
   「陸の孤島になった」。夏井川渓谷の小集落に住む知人が、停電時の状況を厳しい表情で振り返る。誇張でもなんでもない。

 夏井川に沿って県道小野四倉線と磐越東線が走る。電線と電話線も県道に沿って伸びる。

敬老の日(9月16日)の早朝、倒木による停電が発生した。前に道路改修の件でブログ(9月5日付でいわき民報に転載)に書いた場所だというので、雨の日曜日・22日、隠居からの帰りに写真を撮った=写真。

路面が破損したまま改修が進まない個所がある。カラーコーンで囲われている。渓谷で最も狭いところでもある。車1台がやっと、という状況が続く。

ワイヤの張られた山側は水がしみ出し、アスファルト路面がでこぼこになっている。そちらまで破壊が進んで道路が寸断されることがないように――

そうブログに書いたら、ほどなく通行止めの予告看板が立って、舗装の補修が行われたようだが……。

「どこをどう補修したのか、さっぱりわからない」。県道を利用する住民は口々にいう。私も15日に通って同じ思いを抱いた。その翌日の停電事故だ。

近くで以前、路上にせりだした大木がナラ枯れ被害に遭い、陳情を受けて伐採された。倒木があったのはそのへんだという。

夏井川渓谷は、今では県道沿いだけでなく、右岸・塩田、左岸・椚平あたりまで「茶髪」(主にナラ枯れ)が見られる。なかでも左岸の山側急斜面にある枯れ木の落枝・倒木が懸念されるようになった。

それが、現実に起きたことになる。わが隠居のある小集落でも電気と電話が止まった。当然、隠居の冷蔵庫も、地下水を電気でポンプアップしている水道も止まったろう。

それだけではない。もう一人の知人は病院へ行かないといけない日だった。踏切の遮断桿が下りたまま、警報が鳴り続けるので、目の前の県道には出られない。

県道の利用を断念して夏井川の支流沿い、林道から川内村へ抜けて国道399号経由で小川町の平地へ出たという。

渓谷から小川町の平地までは、普通に県道を利用すれば車で10分ほどだ。それが大回りになったために1時間はかかったという。

この知人は車を運転する。自分で緊急事態に対処できたからいい。これが「年寄りで、救急車を呼ぶような事態になったら…」と、前出の知人は顔を曇らせた。

同じ渓谷の小集落、江田は江田で風雨の影響か、山をはさんで国道399号の横川とつながる「母成(ぼなり)林道」が通行止めになった。

 この事故では、停電情報しか得られなかった。JRは「平常運転」、県の建設事務所からも通行支障に関する情報はなかった。

 電力会社は復旧作業のために電源車も出動させたという。3時間ほどで停電が復旧したのはそのためか。

 知人が敬老の日の朝、平のわが家へ電話をかけてきたのは、停電が解消し、電話が復旧したからだった。

 最初は当たり前のように電話をかけてきたと思ったが、そうではなかった。憤懣やるかたない思いをぶつけるようにして倒木事故を教えてくれたのだった。

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