「深部体温」という言葉を知ったのは、3年前の東京オリンピック男子マラソンのときだったか。
札幌でも高温多湿の苛酷なレースになった。日本選手の服部勇馬が73位でゴールしたあと、車いすで運ばれた。
「深部体温が40度以上に上昇した熱中症の重い症状だった」そうだ。このとき初めて、内臓=深部の体温に思いが至った。
それから2日後の朝ドラ「おかえりモネ」が偶然、深部体温を取り上げていた。車いすの女子マラソン選手が世界的な大会の選考会で、暑さに負けて代表を逃す。
そこで、気象キャスターを加えたチームがこの選手のサポートをすることになった。医師も加わって選手の弱点を探る。暑さに弱い体質、つまり深部体温が上昇して力が落ちることがわかった。
ドラマでは、医師が食べたアイスクリームが車いす女子マラソン選手の弱点克服のヒントになる。
サポートチームは、細かく砕いた氷を飲み続けることで、女子選手の深部体温の上昇を抑えることを思いつく。
選手の注文に応じてさらに氷を細かくする、といったことが行われた結果、彼女は強化指定選手に選ばれた。
それを思い出したわけではないが……。この夏もまた危険な暑さが続いて、屋内にいても熱中症にかかる人が相次いだ。
エアコンはかけっぱなしにする――というアナウンスがあっても、扇風機だけの「昭和の家」では、手に汗をにじませながらパソコンのキーボードを打ち続けるしかない。
合間に冷蔵庫で冷やした水を飲む。ときには、それに梅干しを入れてすっぱいジュースにする。昼はご飯に水を注ぎ、氷のかけらを載せた「水飯」にしたり、そうめんにしたりする。
それでもすぐ汗がにじむので、晩ごはんのあとにはデザートとして「ガリガリ君」を食べるようになった。
ガリガリ君はいろんなタイプがあるらしい。なかでもよく食べたのがソーダ味で、板状になっている。その板の幅が狭いものもある=写真。こちらはすぐなくなるので、食べる分には物足りない。
歯を当てるとすんなりかけて、すぐ冷涼感が口内に広がる。現代の商品なのに、かき氷に近い食感が子どものころ、山里で食べたアイスキャンデーを連想させる。その意味では懐かしささえ感じる味だ。
深部体温は、それでどのくらい下がるかはわからない。が、気持ちだけはいっとき内側からすっきりする。
でも、一方ではこんな心配もよぎる。毎日食べていたら血糖値が上がらないか? ネットで調べると、医師が自分を被験者にしたデータが載っていた。
正常値は空腹時で60~110、食後で101~140とある。アイスキャンデーなどの氷菓は糖分を多く含むため、通常より血糖値を上昇させる可能性があるという。
糖尿病予備軍は程ほどに、いや氷菓は控えた方がいい、ということなのだろうか。だとしても、この暑さだ。深部体温を下げるにはやはり……、となってしまう。
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