秋分の日と日曜日が重なった9月22日。いつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに行く。
マイ皿に刺し身を盛り付けたあと、店主が言う。「きょうのカツオは今年(2024年)一番かも。わさびで食べるといいですよ」
わさび? いわきでは普通、にんにく醤油(私はおろしにんにくにわさびを加える)につけて食べる。それを承知で「わさびで」という。
今年一番というからには「とろガツオ」か、それに近いカツオなのだろう。しかし、「戻りガツオ」とはいわなかったな。とにかく脂がのっていて、「今年一番うまいカツオ」ということのようだ。
この2カ月ほど晩酌を休んでいる。カツ刺しは文字通り晩ごはんのおかずである。「今年一番」に刺激されて、久しぶりにカツ刺しをパチリとやる=写真。
年が明けたあと、行きつけの魚屋さんで「カツオ、あります」といわれたときが、わが家の「初ガツオ」になる。
自分のブログを読むと、早ければ1月下旬には「初ガツオ」を口にしている。遅くても2月下旬、それ以後は秋までほぼ毎週日曜日、カツ刺しを食べる。
今年はいつからだろう。1、2月のブログには「初ガツオ」の記述はない。が、いつものようにカツ刺しを買った記憶があるから、春先にはもう「初ガツオ」を食べていたはずだ。
今年一番のカツ刺しである。まずはにんにくわさび醤油につけ、ごはんに載せて食べる。寿司とは違うが、海鮮丼に似た感覚で味わう。確かに甘い。
次はわさび醤油で。甘みがあとあとまで残る。わさびだと、カツオの甘みの余韻が味わえる。なるほど、こういうことか。
隣に住む義弟を含め、食事は年寄り3人でする。カツ刺しは、若いころは余るようなことがなかったが、このごろは、3分の1は余る。それを冷蔵庫に入れておいて、翌日の晩に「にんにく揚げ」にしてもらう。これもうまい。
今年一番のカツ刺しも余った。いつものように冷蔵庫に入れて「にんにく揚げ」にと思ったが、色がそんなに変わっていない。そのまま刺し身として食べると、やはりうまい。生臭さもまったく感じなかった。
さて、なぜ今ごろ、脂ののったカツオがとれるのだろうか。ネットで探ると、通信社やテレビが要因を報じていた。
秋になると、脂を十分蓄えて太った「戻りガツオ」が東北沖でとれる。ところが今年は早くも6月ごろから、脂ののった魚がとれるようになった。
今年は「暖水渦」と呼ばれる水温の高い海域が東北沖に形成された。そこは小魚などが豊富で、カツオはあまり動き回ることなくエサを食べることができた。
要するに、運動もせずに食べてばかりいるから、脂が蓄積されて肥満体になる――。今年のカツオが早いうちから脂がのってうまいのは、こういうことだったらしい。
そろそろ戻りガツオの季節だが、すでに夏の「極うまカツオ」を口にしている人間にはどう映るか。さらにうまい、と舌がうなるのかどうか。
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