2024年9月21日土曜日

「ROOT」第9号

                               
 いわき昔野菜保存会の会報「ROOT」第9号が発行された=写真。2月に開催された第11回いわき昔野菜フェスティバルなどの記事が載っている。

 初回から講師とコメンテーター・アドバイザー役を務めている山形大の江頭宏昌教授は、今回、日程が合わずに参加がかなわなかった。

 このため、先日開かれた役員会では、次回のフェスティバルは教授のスケジュールに合わせて開催日を決めることで一致した。

 フェスティバルでは講演会・ワークショップ・料理教室・座談会・種の交換会などが予定されている。講演はもちろん、江頭教授にお願いする。

 その教授からたまたま、フェイスブックを介して私に質問がきた。山梨県上野原市の寺にまつられている中井清太夫の碑を参拝し、住職から話を聞いた。

 中井清太夫は江戸時代、甲斐国(山梨県)や小名浜、飛騨でジャガイモの栽培を奨励した幕府の代官である。

 山梨では「せいだのたまじ」という郷土料理が広く伝わっている。いわきに伝わるジャガイモの郷土料理で何か心当たりはないだろうか――。

 ないどころではない、おおいにある。「味噌かんぷら」だ。そのうえ、中井清太夫の赴任地でもある飛騨高山には「ころいもの煮付け」がある。

 ジャガイモと清太夫と郷土料理が見事に重なっていることを、前にブログに書いた。「せいだのたまじ」で検索したら3本あった。掲載年月日を教授に伝えると、調べたいことがすでに書かれていた、という。

 あらためて「中井清太夫」で検索したら、5本のブログが出てきた。その中から、2020年5月26日付の「味噌かんぷら」を抜粋する。

――晩酌のつまみに小芋の「味噌かんぷら」が出た。油でギトギトした感じがなく、さっぱりした甘味噌が小芋にうまくからみ合っていた。

日曜日、夏井川渓谷の隠居の菜園で、片手三角ホーを使って草むしりをしていたら、土のなかからころがり出てきた。

ジャガイモは、種ではなく、種芋で増える。地中に取り残された小芋が毎年、芽を出す。葉を残しておくと、6~7月に小芋がとれる。この何年かは、それを「味噌かんぷら」にして楽しんでいる。

2020年は大人の親指~小指大の小芋30個余がとれた。「味噌かんぷら」にちょうどいい分量だ。

 自分のブログで調理の仕方を確かめる。①小さなジャガイモを、皮をむかずによく水洗いする。大きなものは二つ割りにする②鍋に食用油を多めに入れ、ジャガイモをよく炒(いた)める③そこへ砂糖・味噌を入れ、多めに水を差してよく煮る④汁気がなくなるまで煮込む――。

 昔野菜フェスティバルでは、市民がよく知っている「味噌かんぷら」について、どこかで触れたら盛り上がるのではないか。役員会ではそんな期待が膨らんだ。

 小さなジャガイモを俎上にのせて、秘められた歴史(飢饉)と人間(代官)と食文化を伝える。これもまた昔野菜フェスティバルならではの役目と魅力だろう。

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