2010年12月17日金曜日

凍る畑


きのう(12月16日)朝、「三春ネギ」を取りに夏井川渓谷の無量庵へ車を走らせた。いわき総合図書館で開かれている企画展「いわきの農業――伝統農産物を次世代へ」に合わせ、あした、同図書館で三春ネギにまつわる話をする。実物を見てもらった方が早い、と考えてのことだ

遠くの山並みが灰色にけむっていた。平野部では小雨、山間部では雪らしい。小川町の扇状地を過ぎ、渓谷に入ると小雨が小雪に変わった。

南北にのびる阿武隈高地の東側を2階建ての家にたとえると、いわきの平野部は1階のリビングルーム。目の前には庭が広がる。庭の東側は池(太平洋)。無量庵のある夏井川渓谷は1階と2階の中間、階段の真ん中よりやや下あたり。2階は田村郡小野町、そして田村市滝根町。水源の大滝根山はそれを覆う屋根だ。屋根は波型スレート(小溪谷)でできている。

要するに、福島県の浜通りの川には、大地の隆起による「大きな渓谷」と、水源の「小さな溪谷」の二つがある。

それはさておき、夏井川渓谷は人の住む谷あいが標高300メートルに満たないものの、平地の感覚でいると“けが”をする。雨かと思ったら雪になって、ノーマルタイヤの車では制御ができなくなってしまうことがあるのだ。

きのうは、道路はともかく、畑がうっすら白くなった=写真。長居は禁物。すぐネギの掘り起こしにかかったら、スコップがすんなり入っていかない。表土が凍結していた。無量庵の室内にある寒暖計では氷点下4度、外はもっと低かったろう。30分も外にいると、耳たぶが痛くなり、鼻水が垂れた。

今年の三春ネギの出来はどうか。素人栽培だから、プロのつくるようなわけにはいかない。白根が人間の大人の親指大まで育ったのがA級品だとしたら、人さし指大のB級品だ。自慢できる代物ではない。が、そのことも含めて正直に失敗談を語ろうと思う。

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