2010年12月20日月曜日

東京が遠くなる


数日前、全国紙の「声」欄に「ダイヤ変更で東京が遠くなる」という投書が載った。投書の主は、いわき市の北、双葉郡大熊町に住む主婦だ。

JR東日本が2年後の2012年春、常磐線の上野―仙台間の直通列車を廃止する、と発表した。特急は特急でも、上野―いわき間の特急と、いわき―仙台の特急に分ける。で、上野まで行くいわき以北の人はいわき駅で、同じホームながら乗り換えなくてはならない。

その間「数分」とはいえ、「体にハンディを持つ人やお年寄りにはつらいことだと思います。青森まで東京から3時間20分で行ける時代になった今、私たちの住む地域から東京はますます遠くなると感じずにはいられません」と、主婦は思いをつづっている。

ドキッとした。いわき以北の人たちは心理的に“常磐線離れ”を起こしつつあるのではないか。それが現実になると予測されるから、逆に直通列車の廃止に踏み切ることにしたのではないか。

というのは――。大熊町だか富岡町だか、とにかくいわきとはそう離れていない地域なのに、東京へ行くのに常磐線ではなくて東北新幹線を利用する人がいる、そんな話を聞いたばかりだったから。

マイカーで山に向かい、国道288号に出て阿武隈高地を越え、郡山から新幹線に乗って東京へ行く。途中、わがふるさとの鎌倉岳=写真(2009年2月撮影)=をちらりと横目にしながら、車を飛ばす、ということになる。大熊・富岡町から郡山までは車で2時間強か。

なぜ新幹線か。遅くまで東京にいられるからだという。常磐線なら、いわきまでの「ひたち」は上野発最終が午後8時半(いわき着同10時50分)。ところが、郡山に止まる「やまびこ」の最終は上野発午後9時50分(郡山着同11時7分)だ。そこがいいのだそうだ。

すると浜通りの北部、相馬の人たちは仙台に車を走らせ、そこから新幹線で東京に行く、というような動きをしてもおかしくない。いや、そのうちいわきの人間まで郡山へ車で行って、新幹線を利用して東京へ行く――いやいや、そんなことは考えないようにしよう。

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