2010年12月6日月曜日

街中朗読会


先週の金曜日(12月3日)午後、いわき市の「アリオス」音楽小ホールでいわき絵本と朗読の会の「第7回街中朗読会」が開かれた=写真。親しくしている知人が2人出演するので、夫婦で出かけた。3部構成で、1部は<「吉野せい」の文学――魂を揺さぶる百姓女」>。2部は<夫と妻と>、3部は<郷愁>だった。

朗読会に先立ち、テープからCDに再録された吉野せいの肉声が披露された。せいが『洟をたらした神』で田村俊子賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したのは昭和50年。その年、高校の女子生徒が吉野せいにインタビューをした、その記録だ。

生徒が質問する。せいが答える。<生活は貧しかったが、環境はよかった。山村暮鳥をはじめとする人たちに恵まれた>。「環境」とは、暮鳥その他の「人のつながり」のことをさしている。

インタビューそのものが35年前、その時点でせいが60年近く前、現在の時間からいえば90年以上前のことを語っている。キレのいい言葉で、よどみなく。

同じ年、私も仕事で会って話を聴いた。外見は「百姓バッパ」だが、言葉は若々しく張りがあった。明晰だった。いや、それ以上に「古武士」のように凛としていた。この人はすでに少女時代から社会に対して鋭い認識をもっていたのだ、とCDを聴きながら思った。

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