散歩コースのなかに「草野の森」がある。国道6号の常磐バイパス終点、「神谷(かべや)ランプ」に設けられた“森林公園”だ。いわきの平地の潜在植生である照葉樹が植えられてある。大きいものでは3メートル前後にまで生長した。
阿武隈高地で育った人間には、知らない木ばかりだ。むろん、長くいわきに住んでいるので、タブノキ・アカガシ・アラカシ・ハマヒサカキといった名前は承知している。が、具体的なイメージが形成できない。ときどき、「草野の森」と向き合い、標識盤と照らし合わせて実物を目に焼きつける。
小高木のネズミモチも、そうしてやっと頭にイメージが浮かぶようになった。そもそも名前の由来が分からない。初夏に白い花をいっぱいつける。それはこの目で確かめている。今は黒っぽい果実がわんさとついている=
写真。
この果実がネズミのフンに似ていることから、さらに葉の質感がモチノキに似ていることから、「ネズミモチ」という和名がつけられたという。
それにしてはずいぶん大きな「フン」だ。小豆大である。夏井川渓谷の無量庵にはノネズミが出没する。畳の上に残る黒いフンは楊枝の先端2ミリくらいの小ささだ。
その比較から、ネズミモチの名前のもとになったネズミのフンの排泄主はドブネズミではないのか。昔は人家の内外にすんでいた。よく目撃された。その連想からだが――。どうってこともないことが、いつも気になる。その一つがネズミモチだった。
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