2015年3月31日火曜日

仙台平のハングライダー

 夏井川は、阿武隈の最高峰・大滝根山(1193メートル)の南斜面が水源だ。田村市滝根町からいわき市の新舞子海岸(太平洋)まで67キロ。高地の水田の間を細々と流れ、やがて谷を刻み、いわき市の北部を潤す。
 大滝根山に降った雨は伏流水となり、西側で入水(いりみず)鍾乳洞やあぶくま洞をつくった。その鍾乳洞の間にカルスト地形の仙台平(せんだいひら=870メートル)が横たわる。

 ある年の正月、JR磐越東線に並走する県道から異様な光景を見た。上空をずいぶんトビが舞っているなと思ったら、ハングライダーだった。仙台平の頂上にハングライダーの離陸場がある。その年の“初飛び”を楽しんでいたのだろう。

 先日、田村市常葉町からいわき市へ帰る途中、菅谷駅付近でハングライダーが視界に入った。車を止める場所を探しているうちに、家並みの陰に消え、枯れ田に着陸した=写真。滝根町で、しかもパラグライダーではなくハングライダーを見るのは久しぶりだった。仙台平の頂上からはざっと1キロ。そこが着地ポイントらしい。

 田村市船引町の片曽根山(別名・田村富士=719メートル)にもハングライダーの離陸場がある。田村富士の愛称が示すように独立峰だ。頂上まで車で行くことができる。仙台平も同じだ。行きやすさも離陸場向きなのだろう。

 3・11前から行われていたことが、3・11後も継続している。変わらずにある安心感のようなものが胸中に広がった。

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