2018年6月15日金曜日

種さえあれば

 日曜日(6月10日)に東北南部が梅雨入りしたあと、おととい(13日)、きのうと青空が広がった。摘んだネギ坊主を干すには最高の天気だ。
 雨になる前に種を選り分けないと生乾きのままずるずるいってしまう。朝起きるとすぐ、車の屋根にネギ坊主の入ったカゴを載せた。日中は車を使うので、軒下へ。夕方にはまた車の屋根に、夜は室内へ。これを次の日もやって、夕方、乾いたネギ坊主をやさしくもんだり、振ったりして、小さな花序から黒い種を分離した。

 きのう確かめたら、花序には三つのベッド(子房)があって、それぞれ種が二つ、抱き合うように眠っている。つまり、種は花序の数の6倍、花序が200あれば種は1200個ということになる。

 論より証拠、本より経験だ。殻やごみはフーフーやって取り除く(風選)、と本にあるが、息が切れるだけで効果はそれほどでもない。ところが、ネギ栽培の師匠に伝授された“水選”だと、一発で簡単に種だけ選り分けられる。

 先日も書いたが、ボウルにステンレス製のザルを重ね、そこに種もごみもまとめて入れて静かに水を注ぐ。すると、殻や実の詰まっていない種は浮く。それを取り除くと実の入った種だけがボウルの底に残る=写真。水を切って新聞紙に種を広げ、一晩おいて乾いたら、乾燥剤とともに小瓶に入れて冷蔵庫で保管する。

 けさは起きると鉛色の空だ。雨の予報だったので、前夜、寝る前に種を広げたカゴを縁側から茶の間に引っ込めた。量が多かったせいか、まだ乾ききっていない。雨模様(雨はまだ降っていない)で湿度も少々高そうだ。でも、きょうのうちにはまとめて小瓶に詰められるだろう。(雨は6時過ぎに降り出した。種が乾ききるまで時間がかかりそうだ)

 ネギの種の元は「三春ネギ」という昔野菜(在来作物)だ。中通りの田村地方からいわき市小川町、夏井川渓谷の小集落まで伝来した。いわきの平地の千住系とちがって「秋まき」だ。10月10日ごろに苗床をつくって種をまき、翌春、定植する。収穫は秋から冬。一部を採種用に残して越冬させたあと、初夏に種を採る。種屋では売っていない。
 
 ネギの種は寿命が短い。冷蔵庫で保管しても、持って2年だ。病気や根っきり虫にやられる、原発事故で避難しているうちに採種のサイクルが断ち切られる、といった理由で、種切れになることもありうる。実際には危うい環境のなかで栽培を続けているにすぎない。でも、種さえあればなんとかなる。

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