いわき市では春と秋の年2回各3日間、いわきのまちをきれいにする市民総ぐるみ運動を展開している。初日は「清潔な環境づくりの日」(学校・社会福祉施設・事業所・商店・飲食店街周辺の清掃)、二日目は「自然を美しくする日/みんなの利用する施設をきれいにする日」(海岸・河川の清掃、樹木の手入れ、公園・観光地・道路・公共施設の清掃)、そして最終日が「清掃デー」(家庭周辺の清掃)だ。
運動が始まってから30年、いや40年前後にはなるだろうか。27年前、日本政府の「21世紀のための友情計画」で来日した中国系マレーシア人の大学生が、帰国後、現地の新聞「星州日報」に寄稿した。ホームステイを引き受けた縁で切り抜きが送られてきた。中国語に堪能な市職員氏に翻訳してもらった。ちょうど総ぐるみ運動中だった。そのことにも触れていた。
前もって大がかりな宣伝活動をしたり、議員を呼んで儀式を行ったりするわけでもなく、“村民”はほとんど自発的に早起きして大掃除運動をした――そこに彼は驚き、地域の“美風”を感じ取った(事前に実施日を回覧で知らせ、ごみ袋を配付していることはもちろん知らない。私も当時は、新聞記者として知っていた、回覧で承知していた、という程度だった)。
今年(2018年)も初日の朝、地元の小学生が神谷の商店街へ繰り出して通学路のごみ拾いをした=写真。用があって家に来た近所の奥さんが感心していた。そのあと、偶然家の前で6年生と顔を合わせた。「ごみ掃除?」「そうです」「お疲れさま」。おかげで歩道のごみは一掃された。
考えてみれば、ここまで市民に浸透しているイベントは、ほかにないのではないか。区の役員としては、ごみ袋を市からもらってきて配る、実施日の案内を回覧するなど、清掃デーまでの下準備が大変だが、終わればせいせいした気分になれる。この環境美化運動は、いわき市民が自慢していい“お宝”のひとつだと、私は思っている。
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