2018年6月1日金曜日

「アイドルを探せ」

 夕方6時前には晩酌を始める。7時過ぎまで民放とNHKのニュースを見たあとは、BSに切り替える。
 火曜日(5月29日)は地デジのままにしておいた。たまには歌謡曲もいいか――NHKの「うたコン」を見ていたら、びっくりした。シルヴィ・バルタンが出てきた=写真。わが10代のアイドルの一人だ。20代に入るとバルタンを離れたから、以後の歌手活動は知らない。73歳の今、また日本公演にやって来た。「人形のようなアイドル」から「たくましいおばさん」になっていた。歌のテンポも少しスローだった。

 若い人はバルタンと聞けば、ウルトラマンに出てくるザリガニのような「バルタン星人」を連想するにちがいない。が、70歳前後の「団塊の世代」はフランス(出身はブルガリア)の歌手の、かわいい顔と容姿が思い浮かぶ。1964~70年に「アイドルを探せ」「あなたのとりこ」「悲しみの兵士」などが大ヒットした。

「うたコン」では「アイドルを探せ」と「あなたのとりこ」を歌った。つられてメロディーをくちずさんだ。そういう自分に驚いた。半世紀がたっても記憶の芯には歌が眠っている。

「アイドルを探せ」がはやった1964(昭和39)年は――。「平凡パンチ」創刊、東海道新幹線開業、東京オリンピックと、社会が右肩上がりで動いていた。私は開校して3年目の平(現福島)高専1年生だった。

 阿武隈の山里を離れ、平市(現いわき市)という、浜通りで一番のまちにできた学校の寮で集団生活を始めた。山猿にはビートルズよりも、歌謡曲の「愛と死を見つめて」(青山和子)「学生時代」(ペギー葉山)などが、耳になじみやすかった。そこから徐々に洋楽へ。バルタンの歌はそのきっかけになった。意味はわからなくとも、メロディーとテンポが心地よかった。
 
 NHKの夜の歌番組は、「うたコン」の前からそうだが、基本は「懐メロ」だ。中高年が楽しめる数少ない番組のひとつと、若いときから思っていた。バルタンが登場して、あらためてそのことを実感した。若いときを、元気だったころを思い出した。中高年にはたまにそういう「回想」が必要なのかもしれない。

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