右岸の平山崎地区は田園地帯だ。当時、河川敷には竹林と畑が連なっていた。1羽が鳴くと、必ず少し離れたところで別の1羽が鳴く。対岸だけでなく、こちら側に来ているときもある。左岸もまた縄張り内なのだろう。
ある朝6時ごろ、いつものように堤防の上を歩いていると、右岸の3カ所からキジの鳴き声が聞こえた。音源を探ると1羽は畑の真ん中に、ほかの2羽はそれぞれ離れて河川敷の砂地に近い草むらにいる。
3羽の距離を歩いて測った。AキジとBキジの間は240歩(一歩90センチとして216メートル)、BキジとCキジの間は100歩(同じく90メートル)。真ん中のBキジの縄張りは、中間で線引きをすると108メートル+45メート=153メートルになる。
少し余裕をもたせて200メートルごとに縄張りがあるとすると、オスのキジは1キロメートルに5羽いることになる。これは多すぎるか。
それから10年。雄はちょくちょく見かけるが、雌を目撃したのはまだ2回しかない。砂地に雄といた、単独でいた――岸辺だからわかったことだ。
それが、2週間前、堤防を車で行くと、はるか前方を雌が飛んで横切り、人間の住む側の土手に消えた。減速して近づき、止めてそのへんを見回したら、砂浴びを繰り返していた。10日後、今度は反対側の土手の下に雄がいた。写真を撮って拡大すると、手前に雌がいる=写真。肉眼では気づかなかった。
キジの雌は雄の縄張りを渡り歩く習性があるという。雄から見ればみんな妻だが、子どもの父親は母親にしかわからない、いや母親もわからない? ペアでいたということは、子孫をつくる作業中なのかもしれない。でも、人の目に触れるところに雌がいるということは、猫や犬、キツネなどから狙われやすいということでもあるのではないか。
同じ場所で抱卵を始める可能性は、あるのかないのか。堤防からいきものをウオッチングする楽しみが増えた。
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