2018年6月8日金曜日

糠漬けの時間の目安は?

 糠漬けは、わが家では師走に入ると休み、ゴールデンウイークの前後に再開する。今年(2018年)は暖冬気味に推移したので、4月17日に糠床の眠りを覚ました。
 冬眠中は塩の“ふとん”をかぶせる。“ふとん”を取り除いても、糠床の底まで塩分が浸みている。新しい糠と昆布、トウガラシを加え、捨て漬けをしながら塩梅(あんばい)をよくしていく。肉じゃがの残り汁やシャケの皮も入れる。そうしているうちに味がなじんでくる。

 とはいえ、まだ塩分がきつい。さらに新しい糠を入れる必要がある。その間は漬ける時間を調整する。糠漬けは浅漬け。キュウリ=写真=なら、今の糠床では一晩は漬け過ぎだ。朝食べたいなら寝る前に、昼食用には朝起きてから、夕飯用には昼に漬ける。「半日」(6時間)が目安だ。大根はキュウリよりさらに30分ほど長く、カブはさらに少し時間がかかるだろうか。
 
 きのう(6月7日)のように室温が30度近くまで上昇する日には、糠床の乳酸菌がさらに活発になる。半日どころか4時間くらいで漬かるかもしれない。
 
 今は台所に置いているが、夏の盛りには猫がよく休んでいた風呂場とトイレの間に移そうと思う。毛皮をまとった生きものには“熱センサー”が備わっている。家の中を動き回って、そこが一番しのぎやすい場所であることを感知した。乳酸菌にも当てはまるだろう。
 
 理想的な糠漬けは、塩っ気を……と、締めくくりの文を書きだしたとたん、篤農家塩脩一さん(平北白土)の顔が思い浮かんだ。塩が塩さんを呼んだ。
 
 塩さんのキュウリはブルームだ。ブルームとは、実から自然に出てくる白い粉のようなロウのことをいうらしい。硬くて味のないブルームレスとちがい、皮が薄くてやわらかいから、糠床に入れるとすぐ漬かる。消費者はこのブルームを農薬の残りと誤解して敬遠する。で、ブルームレスが一般化した。

 先日、ブルームレスをスーパーから買ってきて糠漬けにしたが、中身がスカスカしていて苦みさえ感じられた。こんなときには「塩さんのキュウリが食べたいねぇ」となる。
 
 書きかけた文章に戻る。理想的な糠漬けは、塩っ気を感じさせない味で晩酌のつまみになるくらいにしんなりしていること――。まだまだそこまではいかない。

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