平日は、人間がひしめく市街で暮らしている。週末、といってもこのごろは日曜日の日中だけだが、自然に囲まれた渓谷の小集落で過ごす。
街と山里を行き来しているとみえてくるものがある。たとえば、イノシシ――。山里では、イノシシ出没を織り込んで暮らしている。市街では、イノシシが現れること自体、ニュースになる。街では「ありえない」ことが、しかし、このごろ少しずつ「ありえる」ことになってきた感じがする。
最近、渓谷の田んぼに新しいイノシシ除けの柵ができた=写真。高さは1メートル。線路側と、車が行き来する道路側にはない。そっちから回って来るのではないか――という懸念は残るが、完璧はありえない。少しでも被害が減ればいい、ということなのだろう。
きのう(5月18日)、フェイスブックに若い知人がイノシシの写真をアップしていた。平市街のはずれで遭遇したという。2匹がビニールハウスのそばで向かい合っている。ストリートビューで場所を確かめたら、鎌田山の東側のふもとらしかった。目の前に「神谷(かべや)耕土」(水田)が広がる。
いわき駅を軸にした中心市街地は、夏井川がイノシシの“防衛ライン”になっている。鎌田山はその東側、夏井川をはさんで南北に伸びている。
山から先は旧神谷村。私の住む地域だ。北は常磐線、南は夏井川の間に市街が形成されている。今のところ、常磐線を越えてイノシシが神谷の市街に現れた、という話は聞かない。田んぼを電気柵で囲うようなこともない。
山をかかえた上神谷、その奥の上・下片寄あたりでは、たびたびイノシシが出没している。このごろはより市街に近い鎌田で、しかも昼間、目撃されるようになった。鎌田山には平二中がある。住宅も張りついている。撮影されたイノシシは、おそらく鎌田でマークされている個体だろう。
前にも書いたことだが、3・11後、イノシシが山から下りてじわりじわりと街に攻め寄せつつある。農作物被害はむろん、住宅街にも現れて遭遇した人間を傷つけないとも限らない。そんな懸念もふくらむ。“防衛ライン”の常磐線を越えるのも時間の問題か。
0 件のコメント:
コメントを投稿