2016年5月8日日曜日

「かえるマラソン」メダル

 ゴールデンウイーク2日目の4月30日、第1回「川内の郷(さと)かえるマラソン~復興から創生への折り返し」が開かれた。こう言ったらなんだが、いわき市や郡山市から見ると、分水嶺に近いどん詰まりの山里だ。そこを1200人近いランナーが駆け巡る――なんてことは「奇跡」に近い? 小学生の発案で開催が決まったそうだ。
「面積の約9割を山村が占める川内村は、かつて木炭の生産量が日本一であった歴史を持ち、森を大切にしながら暮らしてきた山里です。/渓流には『イワナ』が棲み、天然記念物の『モリアオガエル』が産卵する、豊かな自然がそのままの形で数多く残っています」
 
 メディアでは伝え得ない情報をネットで探り、大会関係者のフェイスブックやツイッターでさらに細部をのぞく。上記の引用文は、大会コンセプトの書き出しだ。続いて、鉄道の駅はない、路線バスや旅館なども十分ではない。でも、「山に囲まれた田畑を眺めると、なぜだか『落ち着く』『懐かしい』気持ちになる」――それが魅力ですよ、と呼びかける。
 
 黙っていても人が集まる。そんなインフラが備わっているわけではないから、アタマ(知恵)で勝負するしかない。郡山駅といわき駅から送迎バスを出す。ハワイアンズ泊だと首都圏からの客はバス代がタダ。それと連携してハワイアンズ~川内を含めたバスツアーも企画した。村民も何軒かで「民泊」を引きうけた。

 フェイスブック経由でテレビニュースを見たら、四半世紀前から付き合いのある村の陶芸家志賀敏広さんが登場した。「多少なりとも(大会を)応援できればいいかなと」いう思いで完走メダルをつくった=写真。モリアオガエルを模した村のキャラクター「モリタロウ」が描かれている。大会コンセプトに「村一丸となって取り組みます」とあるが、その通りの展開になったわけだ。
 
 以前は夫妻で、今は大学生の娘さんも加わって、3人で日常の器を焼いている。ネットで娘さんのツイートに出合った。工房でつくったメダルは青白磁だという。陶器のメダルと思い込んでいた。よちよち歩きの幼子は、今やデジタル技術を駆使してネットで情報を発信する親孝行な娘になっていた。

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