「長靴をはいた猫」ならぬ「赤い靴をはいた犬」を見た。けなげにもご主人のジョギングに必死についていく。立夏から4日目。ゴールデンウイーク最後の日曜日(5月8日)は行楽日和になった(農家では田植えが続く)。風も日ざしも強い。日なたにいると暑さがこたえた。そんな日の午後のひとこま――。
午前中、夏井川渓谷の隠居で土いじりをした。昼過ぎ、街へ戻った。図書館で用事をすませたあと、カミサンの希望でアリオス隣の平中央公園で開かれているパークフェスをのぞいた。
帰りに、アリオス前の知人の花屋へ顔を出す。娘さん一家が来ていた。下の娘さん一家もあとで顔を見せた。母の日のプレゼントを持ってきたのだった。
知人が店の前にいすを持ち出した。うまい具合に日陰になっている。風が気持ちいい。「なんかキューバ的な感じがする」。行ったことはないが、写真や動画で見たことのある構図を思い出した。
店の前の細道をパークフェスへと人が行く。戻ってくる人もいる。小さな犬2匹を引き連れてジョギングをする男性が現れた。犬も赤いジョギングシューズ?をはいている=写真。とっさにカメラを向けると、男性が立ち止まってくれた。知人とは顔見知りのようだった。
いわきにアマチュアの総合エンターテイメントバンド「十中八九」がある。知人によれば、そのメンバーのドクターだ。昨年(2015年)11月中旬、いわき市立草野心平記念文学館で「十中八九」のライブが開かれた。消防はんてんを着たアフロヘアの男性の姿が思い浮かんだ。目の前にいるのは、メガネをかけた物静かな好青年――落差は大きいほどおもしろい。
帰宅すると間もなく、同じ「十中八九」に属するダンサーがカーネーションの鉢を持ってきた。彼女を介して「十中八九」を知り、彼女から届いたCDを聞いている。彼女もまた日常と非日常の落差が大きい。
なぜバンド名が「十中八九」なのだろう。十のうち八~九割うまくいけばいい? そのくらいメンバーが参加すればいい? 一発で記憶に刻まれる名ではないからか、知人の頭のなかでは一時、「十返舎一九(じゅっぺんしゃいっく)」だった。ダンサーの娘(疑似孫)も「『四六時中』だっけ」と聞いたことがあるという。ま、覚えてしまえばどうってことはないが。
そういえば――。CDには伝説の喫茶店「ブルボン」のマスターをうたった「ブルボンじいちゃん」が入っている。街なかの店に自作の彫刻が林立している。海辺に最初の店があったころ、漂流木を拾って彫ったのが始まりだ。そのマスターが先ごろ亡くなったと、風の便りに聞いた。「赤い靴をはいた犬」にも増して強烈な街の彫刻家だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿