2018年1月8日月曜日

松が明けた

 2018年も、明けてはや8日目。元日に夏井川渓谷の隠居へ行って正月様を飾り、山を仰いだ=写真。きのう(1月7日)、正月飾りをはずして燃やすつもりでいたが……。風邪が治りきらないのでカミサンからストップがかかった。
 まだ頭がすっきりしない。ふだんだったら簡単にできるはずの情報整理がうまくいかない。土曜日(1月6日)、「あしたはもう松送りですよ」という仲間のことばを耳にしてドキッとした。区として何の準備もしてないぞ――。冷静に考えれば、何の準備もしてなくて正解なのだが(区として松送りをやっているわけではないので)、急に気になりだした。
 
 8月の月遅れ盆には区の役員が精霊送りを主催する。そのための準備が何日か前から続く。斎場用に4本の竹と杉の葉、ホオズキを調達する。前日には集積所の草刈りをして、斎場をつくる。当日早朝は、区の役員が当番でお盆様を斎場に積み上げる。ぼんやりした頭が、それと正月の松送りをセットにしたため、松送りの「指示を忘れた」と少しパニックになった。
 
 いわき地方には松の内の7日早朝、人々が持ち寄った正月飾りや古いお札を、方形の小屋とともに焚く「鳥小屋」行事がある。きのうの朝は、いわきのあちこちでこの「鳥小屋」が勢いよく燃えたことだろう。
 
 区の行事を頭でたどってみる。正月の松送りに伴う寒い記憶がまるでない。近所で鳥小屋行事があって、そこへ松飾りを燃やしに行った記憶はある。区としては鳥小屋行事も、ただの松送りもやっていない。それを確かめたうえでなお、副区長さんに電話をかける。「区としては、松送りをやってませんよね」「やってません」。やっと安心する。
 
 鳥小屋行事は、一般にはこんな感じだろうか。朝6時すぎ、松飾りその他を新聞紙に包んで、鳥小屋の立っている田んぼ(あるいは空き地)へと向かう。東の空はうっすら明るみ始めたとはいえ、頭上はまだ黒みがかった群青色。

 6時半。稲わらで囲われた小屋に火が放たれる。火はたちまち大きな炎に成長して、周囲に熱を放射する。そのうち、骨組みの青竹が「ボム、ボム、ボム」と音を発し始める。中の空気が熱で膨張して竹を裂くのだ。鳥小屋はあっという間に燃え落ちる。勢い良く燃える鳥小屋に長い竿にさしたもちを差し出し、焼いて食べて帰路に就くと、空は白銀色に変わっている。
 
 お盆の「しゃんがら念仏踊り」、正月の「鳥小屋」はいわき独特の年中行事でもある。鳥小屋で焼いたもちを食べると風邪を引かないというが、もう何年も鳥小屋行事には参加していなかった。

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