2019年1月23日水曜日

カラスが道をふさぐ

 ごみ集積所をめぐるカラスと人間の知恵比べはエンドレス――つい、そうグチりたくなる。
 わが家の前の集積所は、私がごみネットを出す。毎日ではない。月曜日早朝に出して、カミサンが木曜日に引っこめる。わが地区の場合、週末3日間はごみ収集がない。この間だけでも歩道に黄色いごみネットがないほうが、景観的にいい。紫外線を浴びない分、ネットの寿命ものびる。

 あるとき、黄色がカラスに対して有効だというニュースが流れた。たしか、石原知事のときの東京都の実験だった。以来、急速に黄色いごみネットが普及した。わが行政区内もあらかた黄色いごみネットに替わった。それでも、カラスの被害はなくならない。色に関係なくカラスは生ごみの入ったごみ袋に群がる。

前にも書いたことだが、カラス研究の第一人者、杉田昭栄・宇都宮大学名誉教授の『カラス学のすすめ』(緑書房、2018年)にこうある。「今でもカラスは黄色が嫌いだと思っている方もいるようですが、(略)カラスに嫌な色はありません。あくまでも紫外線遮断効果がないと効果はないことを、この場でお伝えしておきます」。色ではなく、紫外線カットができるかどうか、なのだという。

生ごみ散乱の問題は、カラスではなく人間の問題だ。ごみの出し方、ごみネットのかぶせ方がいいかげんだと、たちまちカラスに狙われる。ネットから袋がのぞいていると、1羽がネットをくちばしで持ち上げ、別の1羽がごみ袋を引っ張り出してつつくといった連係プレーまでやる。

 カラスは学習する。人間が新たな手を打てば、新たなやり方を考える。今年(2019年)はまだ被害はない。が、よそのところではさっそく、ごみ散乱の憂き目に遭った。

 おととい(1月21日)昼前、街へ行った帰りに見た光景だ。カラスの集団(およそ20羽)が道をふさいでいた。そばにごみ集積所がある。シートからごみ袋がのぞいていたらしい。

生ごみの入った袋を二つ引っ張り出してつつきはじめる。それを見守るカラスがいる。周囲を見張っているカラスがいる。車で近づいても、飛ぶ気配がない=写真。なんてことだ。車の方が減速し、わきをそっと通らなければならないなんて。

 集積所には集積所の個性がある。戸建て住宅の集積所、アパートの集積所、両方混在の集積所……。高齢世帯、若い家族、独身世帯、留学生でもごみの出し方が違う。

生ごみ狙いのカラスが絶えず現れる。「翼をもった隣人」の存在を頭に入れておかないと、たちまちスキを突かれる――自分の集積所の“教訓”に、この惨状を記録しておく。

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