玄関を開けるなり、「おっ、にんにくの匂いだ」と息子が反応する。カツ刺しは、わさびも加えてにんにくじょうゆで食べる。にんにくだけだと、翌朝、口の中がきつい。わさびを加えるのは、それを緩和する意味もある。どのくらい効果があるかはわからないが。
2人の孫は4月から小学校の6年生(12歳)と4年生(10歳)だ。ちょうど日曜日、同じような時刻にやって来ると、必ずカツ刺しをつつく。
上の子が4年生になったばかりのとき、父親と一緒にやって来た。父親にうながされた。「(小学校の近くにある)魚屋の刺し身だぞ」。孫はさっそく、わさび入りのにんにくじょうゆで食べた。にんにくを嫌がって吐き出すかと思ったら、一呼吸おいて「うまい」という。おやおや、同好の士が一人増えたようだ。
同じ年の晩秋、やはり父親に連れられてやって来た。カミサンが刺し身を勧めると、孫はメジマグロを一切れ、わさびじょうゆにつけて口にした。「うまい!」。また一切れ口にして、「うまい!」。わさびに顔をしかめるわけでもない。
おとといは下の孫も、競うようにカツ刺しを食べた。にんにくじょうゆには少し顔をしかめたが、やはり「うまい」と一丁前の口をきく。
チコちゃんみたいに、10歳で刺し身の味がわかるなんて、さすがいわきの子だね――といいたいところだが、飲兵衛の血も流れているにちがいない。孫と一緒にカツ刺しで酒が飲めるまであと8~10年。いや、そんなことより、いわきの刺し身食文化が孫にも伝わったことを実感してうれしくなった。
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