平市街周辺の平窪~草野~神谷コースで、神谷ではカミサンがやっている地域図書館「かべや文庫」がステーションになっている。カミサンが選ぶ本は、当然ながら私とは違う。老い・料理・キルティング・小説……。自分では選ばないからこそ、読んでみたくなるときがある。認知症の専門家が認知症になってわかったことを書いた長いタイトルの本は、そうやって読んだ。
今回は何を借りたのか――。図書の入ったボックスをながめると、テレビの「プレバト」でおなじみの俳人夏井いつきさんの本が2冊あった。『夏井いつきのおうちde俳句』(朝日出版社)と『寝る前に読む一句、二句。』(ワニブックス)で、『おうちde――』の方をパラパラやっている。
たまに近世俳諧を調べる。といっても、身分を超え、地域を超えて人がつながっていく俳諧ネットワークの方にエネルギーをとられ、文学としての作品の吟味・解釈・評価までは手が回らない。
実作面から切り込んでいきたい――という思いはあるが、五・七・五音の文字を連ねても、プレバトの「才能なし」か「凡人」にとどまるのはわかっている。どうしたら韻文になるのか。その一点で、プレバトの夏井さんの査定を聞き、俳句を読み解く参考にしている。
夏井さんは2年前、「あさイチ」に出演し、ポイントは「尻から俳句」と語った。素人は下五から入るといい。一番下に季語ではない五音を持ってくる。真ん中の七音は、下五を描写したものにする。一番上に全体の気分に合った季語を据える。
『おうちde――』の言葉でいえば、取り合わせの型がある、それを覚えなさい、ということだろう。「頭から俳句」も、もちろんある。本では、取り合わせの例として「五音の季語+季語とは無関係の十二音」、その逆の「季語とは無関係の十二音+季語の五音」などを紹介している。身近なリビングを題材にした応募秀句「リビングにリモコンいくつりんごむく」は、下五に季語を持ってきた。
話も文章もわかりやすい。プレバトでの批評の的確さにはいつも舌を巻く。ゆうべ(7月9日)のプレバトでも、出演者の俳句の出来について査定するのを聞きながら、韻文も散文も正確な表現こそいのち――そこへ思いがころがっていった。
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