2020年7月27日月曜日

カワガラスとサンコタケとイワタバコ

 世間では4連休の最終日ということになる。きのう(7月26日)の日曜日。2歳年下の友人の葬儀から帰ったあと、夏井川渓谷の隠居へ出かけた。
 相変わらずの曇天、時折の小雨ないし霧雨。隠居の庭の菜園でキュウリを3本摘んだら、やることがない。長梅雨で、森の中ではキノコのカーニバルが開かれているにちがいない――そう思うと、いてもたってもいられなくなった。

 隠居の対岸、つり橋を渡って100メートルほどのところに「木守の滝」がある。そこまでは年に2、3回、足を運ぶ。その先の遊歩道へはこの10年近く、ほとんど行ったことがない。理由は二つ。原発事故が起きたこと(キノコを採っても食べられない)。散歩にドクターストップがかかったこと(今の時節は少しの距離なら、と変わってきた)。

 キノコのカーニバルの主役はタマゴタケ、そしてチチタケ、イグチ系のアカヤマドリタケなど。発生するところは決まっている。崖(がけ)際の遊歩道の奥の奥だ。そこを目指して歩きだしたものの……、半分の300メートルほどで足が止まった。

 そこは木々に覆われた“テラス”。去年(2019年)秋の台風19号では冠水した(土砂が薄く残っているのでわかった)。人が行き来している気配がないのは、ところどころクモの巣が顔に張り付くことでわかる。“テラス”の先は、張り出した尾根に沿って、上って下るデコボコ道。枝葉が垂れて薄暗い。昔、その先の林床で生乾きのイノシシのフンを見たことがある。原発事故以来、森から人間の気配が消えて、日中も歩き回っているのではないか――そんな恐れが初めてわいた。

“テラス”までの間に見たものでよしとしよう。眼下の渓流の岩場にカワガラス(水中でカゲロウなどの水生昆虫を捕食する)がやって来た=写真上1。遠く離れていても人の姿を見ただけで飛び去るのに、距離を縮めても動かない。こんな無防備なカワガラスは初めてだ。普通のカメラでもそれなりに撮ることができた。
 木守の滝のそばにはキノコのサンコタケが生えていた=写真上2。岩壁にはイワタバコの花が=写真下。
 サンコタケは柄が中空で、新鮮なうちは薄いゴム管のように弾力がある。乾燥すると、それこそしおれてへなへなになる。それがわかっただけでも、採取し、観察したかいがある。イワタバコもまた岩壁という厳しい環境を選んで生息している。それだけで大したものだと思う。

渓谷へ行っても隠居の庭をうろつくだけでは、渓谷の自然に触れたことにはならない。「モリオ・メグル氏」になるからこそ、複雑・精妙な森の生態、仕組みの一端がわかる。今回はなかでもカワガラスとの遭遇に心が躍った。

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