といっても、目にしたのは牛小川の隠居までの間にある、籠場の滝の上流の駐車場だ。前は岸辺に沿って杉が植えられていた。県が籠マットで基礎を固め、路面をアスファルトで舗装して、行楽のマイカーが止まれるようにした。そこが大水でえぐられた。
この場所は、川の流れと道路の高さがそんなに違わないため、「10年にいっぺんくらいは大水で冠水する」(地元住民)。駐車場ができてからでも、今度の被害を含めて3回、籠マットの内側の土砂が大水に流された。
1回目は2007年9月5日、台風による大水で。2回目は翌2008年8月28~29日、上流の川前町に大雨が降ったとき。籠マットが何段にも組み足されて復旧したはずだったが、段数の一番少ない下流側の先端部分がえぐられた。そして、3回目が去年の台風19号。復旧には来年3月下旬までかかる。
渓谷では日常的に落石がある。そのため、山側の急斜面には一部、ロックシェッドが設けられ、ワイヤネットが張られている。竹ノ渡戸地内が一番険しい。そこの谷側に1カ所、路肩が崩れて何年か前からカラーコーンが置かれているところがある。最近、「地質調査中」の看板が立ち、ボーリング機械が据えられた=写真下2。ここも併せて災害復旧工事が始まるのだろうか。
いわき市は平成27(2015)年、防災マップ改訂版を出した。新たに土砂災害警戒区域、同特別警戒区域を加えた。夏井川渓谷では人家のある4カ所の沢が該当し、その一つが隠居のそばの土砂災害警戒区域「下の沢」だ。3日前(7月5日)、隠居へ行くと、チラシが差し込まれていた。「下の沢」の土砂災害に伴う地元集落の緊急連絡網だった。
気象災害が年々、大規模化・深刻化している。夏井川渓谷の土砂災害も、過去の事例ではなく、より深刻な事態を想定したものにならざるを得ない。渓谷が通行止めになったときのう回路は、江田から山を越えて国道399号の横川へ抜ける母成林道だが、ここも台風19号以来、通行止めのままだ。牛小川の隣、椚平に住む友人は「(竹ノ渡戸あたりで)通行止めになったら陸の孤島だね」と真顔でいう。
☆おわび=6日付の「キリの木を切ってもらう」なかで、「ふたつ返事」を「ひとつ返事」と書いてしまいました。知人のIさんからはがきをいただき、“自己校正”の限界を痛感しました。Iさん、ありがとうございます。訂正しました。
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