旧知の消防OB氏から、今年(2024年)も川前産のギョウジャニンニクが届いた。ウドも添えられていた。
去年、初めてちょうだいした。カミサンが聞いたところによると、奥さんの実家が川前町にある。そこでギョウジャニンニクを栽培している。それに触発されて、去年、ブログを書いた。
――ギョウジャニンニクは北海道の代表的な春の味だ。別名「アイヌネギ」。農文協の『聞き書アイヌの食事』(1992年)などで承知はしていたが、現物を見るのは2回目だ。
最初はちょうど10年前、原発事故で双葉郡から近所に避難していた老夫婦から、パック入りのギョウジャニンニクが届いた。
老夫婦とカミサンがいつの間にか仲良くなり、煮物や漬物を分け合ったりするようになった。いわばお福分けの一品だった。
ギョウジャニンニクは、本州でも山深いところには自生する。しかし、阿武隈高地に分布するという話は聞いたことがない。
川前は、いわきでは山間高冷地に入る。平地よりはギョウジャニンニクの栽培に向いているのだろう。
葉は鳥の羽のように長い。根元は赤みを帯びている。これが特徴らしい。似た形状の山菜にウルイ(オオバギボウシ)がある。こちらは、茎は白い。
調理法も調べる。醤油漬けというものがある。ギョウジャニンニクをよく水で洗う。生かゆでたものを刻んで容器に入れる。醤油・みりん・酒を煮たてて冷ました調味液を加えて、冷蔵庫に一晩おくと食べられる。
ほかには、てんぷら。ゆでたギョウジャニンニクを適度な大きさに切ってキムチに和えるのもいいそうだ。
まずはおひたしだ。かつお節を加え、醤油をかけて食べた。今まで経験したことのない変わった風味が口内に広がる。茎には甘みがある。歯ごたえも含めて,ニラに近いといえばいえようか――。
今回もおひたしにした=写真。甘い。なんといっても、この甘さに引かれる。これはまさに新しい「口福」だ。貴重な山菜、いや高級食材。今回もそんな言葉が浮かんだ。
同時にいただいたウドは、先端と、むいた皮をてんぷらにした。本命は、しかし糠漬けだ。
皮をむいた茎を5~6センチの長さに切って、糠床に入れた。が、キュウリと同じように、半日とちょっと漬けてしまった。
食べやすい長さに刻んで口に入れると、しょっぱい。皮がない分、早く漬かる。それに合わせて、早めに取り出すべきだった。
水につけて塩分を抜いてからご飯のおかずにした。が、やはりこれは酒のつまみだ。池波正太郎『鬼平犯科帳』の「盗賊婚礼」に「独活(うど)のぬか漬け」が出てくる。
「清水門外、役宅の寝間で長谷川平蔵は久栄に肩をもみほぐしてもらいながら/『ああ極楽、極楽!』/独活のぬか漬けを肴に寝酒をやっていた」。肩もみも寝酒も、頼んだら張り倒されるが、ウドはやはりこれに限る。
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