2024年5月6日月曜日

ブロックと菜の花

                     
 夏井川の堤防を通るのは、ほぼ1週間ぶりだった。新年度が始まって1カ月余り。区内会その他の用事が続いて、街の図書館などへ行くヒマがなかった。

 4月に入ると、堤防は菜の花で黄色く染まった。土砂除去工事が続く右岸でも、波消しブロックの間から茎がのびて花を咲かせていた=写真。

 そのブロックの花が、5月2日に見ると消えていた。こちら側(左岸)の堤防の黄色もだいぶ色あせて、少なくなっていた。

田んぼも水が張られ、大型連休が終わるころには、神谷耕土もおおむね青田に変わる。それはいつもの光景だが、菜の花を咲かせたブロックは初めてだった。

ブロックの形が変わっている。人によっては大きく口を開けたカバに見えるらしい。アルファベッドでいう「C」のように湾曲している。

 検索をかけると、いろんな形状の波消しブロックが現れた。よく知られたのは截頭円錐(せっとうえんすい)体のテトラポッドだ。登録商標なので、メディアでは「波消しブロック」と言い換える。

の字」ブロックは、製品名が「ジュゴン」。護岸の消波工、河川の根固めに使う、とあった。これも書くときには「波消しブロック」だろう。球面体なのでやわらかい感じがし、周りの景観に調和する、ともあった。

 土砂除去から始まって、堤防には護岸ブロックが施され、その手前にジュゴンが整然と並べられた。それが最終形態かどうかはわからないが、大水から堤防を守る備えにはちがいない。

 さて、1週間ぶりに堤防を通って気づいた「変化」がもう一つある。「川中島」だ。北白土(右岸)側は堤防の基礎部分まで土砂が撤去されて、一見「大河」の風情を醸し出す。

 ところが、もともと水量が少ないこともあって、夏井川は平地の下流域に入ると勢いが減衰し、「川の3作用」(侵食・運搬・堆積)に従って、浅瀬に砂がたまる。

 それだけではない。田植えの時期を迎え、夏井川両岸の田んぼに川から水が引かれる。なおさら本流の水量と勢いが失われる。

 これまでにも田植えの最盛期を迎えると、夏井川は各所で「川中島」ができた。

 その夏井川で旧建設省の「ふるさとの川」整備事業が行われたのはいつだったろう。30年以上前だったのではないか。

親水空間をつくるのが目的で、鎌田地区では川幅が広げられ、広場や階段が設けられた。

が、結果として「川中島」ができた。中島にはやがて草が生え、ヤナギの木が茂った。

 鎌田の下流、平・山崎(右岸)では堆砂除去と県道付け替え工事、河川拡幅工事が行われた。野球場が2面も取れるような河川敷になった。

しかし、それもつかの間、一面に草が茂り、岸辺にはびっしり若いヤナギ林が形成された。

そして、令和元年東日本台風による災害復旧・強じん化工事によって、大々的に土砂除去工事が行われた。

川中島が常時見られるようになると、流れは二つに分断される。いずれはまた土砂が堆積する。そのことは覚悟しておくべきなのかもしれない。

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