これはたぶん、興味と関心の濃淡による。身近な野鳥はウオッチングをしてきたので、ある程度はわかる。
野草もそのつど調べて名前を覚えたので、わが家の庭をはじめとする生活圏、あるいは夏井川渓谷にある隠居の周辺の花なら、なんとかわかる。
地元の人間に聞く。ネットで調べる。アナログであれ、デジタルであれ、知らないことを知るには最大限利用する。ネットには答えが埋まっている。
ネットの情報は玉石混交だとよく言われる。その通りで、専門家の「玉」の情報も、ネットにはあふれている。そこへたどり着くまでの我慢が大切だ。
そのためには「違う」感覚をあいまいにしないことだ。5月12日の日曜日にこんなことがあった。
渓谷の隠居で休んでいると、庭でカミサンがトンボに出合った。「シオカラトンボがいる!」
声に誘われて、カメラを持って庭に出る。庭には木製のテーブルがある。腐朽が始まってだいぶたつ。そこにシオカラトンボが止まっては飛び、飛んでは止まり――を繰り返していた。
たまたま近い距離でパチリとやった=写真。撮影データを拡大しながら、ネットでシオカラトンボかどうかを確かめた。
トンボもそうだが、昆虫はよくわからない。いわき地域学會に昆虫が専門の仲間がいる。彼の講演や文章から、種の同定は簡単ではないことを承知している。
シオカラトンボを見た瞬間、シオカラにしては小さい、尾が平べったくて先端まで灰色っぽい――この2点で、シオカラとは言い切れない、という感覚がわいた。
そのためにネットを利用し、あれこれ検索していると、シオカラトンボの仲間のシオヤトンボらしいことがわかった。
シオヤは小柄で、腹部が扁平で短い。翅の先の縁紋は、シオヤは橙褐色、シオカラは黒色。尾の先端の黒みは、シオカラが長く、シオヤは小さい。翅の付け根は、シオヤが赤褐色なのに対して、シオカラは透明だという。
以上の特徴を当てはめると、シオヤにほぼ間違いない。そんな確信を抱いたが、シオヤには全くなじみがなかった。
シオヤは平地から低山地にかけての水田、休耕田、池などで見られるという。時期的には春から初夏で、大きさはアカトンボとほぼ同じだとか。
「春一番のトンボ」という形容にも出合った。その延長でいうと、私たちが目撃したのは、やはり成熟した、若いシオヤの雄のようだ。
隠居の周辺の生息地といえば、川べりの平地に沿ってできた小流れがまず思い浮かぶ。あるいは山側にある水田、その他の湿地だろうか。
いずれにしても、初夏が始まったばかりのこの時期、想定外の早さでトンボが出現した。
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