2024年5月7日火曜日

雑誌を買う

                                
 年金生活に入ってからはよほどのことがない限り、本も雑誌も買わなくなった。代わりに図書館の新着図書や古くなった雑誌を借りる。

 それでも手元に置きたい、あるいは読みたいのに図書館にない、といったときには本屋へ足を運ぶ。

 SNSで「ナショナルジオグラフィック日本版」の4月号が目に留まった。表紙にオオトガリアミガサタケの写真が載っている。その下に「不思議いっぱい菌類の世界」という文字が躍る。

 カミサンを乗せていわき市暮らしの伝承郷へ行ったついでに、鹿島ブックセンターへ寄った。新書や単行本を眺めているうちに、「ナショナルジオグラフィック日本版」4月号を思い出す。

雑誌コーナーへ行くと、あった=写真。迷わず買う。ナショナルジオグラフィックだから、どちらかというと写真が主だ。今度の特集でも、意想外なアングルとライティングの写真がほとんどだった。

とはいえ、雑誌の性格からして、菌類は最初のおよそ30ページ、全体の4分の1ほどだ。ほかにも「砂漠にできたファッションの墓場」がある。それは16ページに及ぶ。

さて、菌類の記事は――。4章仕立てだ。「前書き」に当たる部分では、「私たちが知る地球上の植物や動物の多くが菌類なしでは存在できない」と記す。

そして、第1章「自然界の奇妙なヒッチハイカー」。この100年ほどで人と物の移動がかつてなく活発になった。

「菌類も植物の輸送に便乗したり、風に乗って遠くに運ばれたりして、地球規模の旅に出た」

気候変動のおかげで、「以前は気温や湿度が低すぎて定着できなかった地域で大いにはびこっている」。

第2章「謎に包まれた菌界」。「科学者は菌類を系統樹で独立した界(菌界)に分類しているものの、その大半の種をまだ知らない」

第3章「人体に潜む菌類」では、薬用キノコなど、人類の味方にも敵にもなり得る生物としての菌類を紹介し、「菌類を医療に生かす研究の進展を占ううえで、参考になるのはペニシリンの登場だ」と、新しい成果に期待を寄せる。

驚いたのは、最後の第4章「未来のファッションを育てる」だ。「アパレルの世界では、菌糸を利用した人工皮革『キノコレザー』など、環境にやさしい新素材が生まれつつある」という。

オランダのある企業は液体培養技術で菌糸体を育て、バッグや服、ランプシェードも作っている――そんなところまできた。

文学や思想などを扱う芸術総合誌「ユリイカ」が、2022年5月号で「菌類の世界――きのこ・カビ・酵母」を特集した。

そのなかで、アメリカではキノコの胞子を植えつけた「きのこスーツ」を着て埋葬された俳優がいた、オランダではキノコの菌糸体を原料にした「生きた棺」が開発された、といったことが紹介されていた。

ナショジオの第4章とユリイカの「きのこスーツ」や「生きた棺」はどこかで重なり合い、連動しているのではないだろうか。

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